改訂新版 世界大百科事典 「ソゾ」の意味・わかりやすい解説
ソゾ
Laurencia
紅藻綱イギス目フジマツモ科の1属で,全世界で約80種が知られ,とくに温帯海域の潮間帯に多いが,寒帯や熱帯の海域にも分布し,また低潮線下に生育するものもある。浅所産の代表種としてクロソゾL.intermedia YamadaとコブソゾL.undulata Yamada,深所産の代表種としてハネソゾL.pinnata YamadaとソゾノハナL.grevilleanaHarveyがある。浅所のものは暗紅色~暗紅緑色を呈するのに対し,深所のものは鮮紅色のものが多い。体は大型の種で20~30cm,小型の種で5cmくらいであるが,茎は種によって円柱と扁圧のものとがあり,分枝も両側から平面的に出るものと,各方面から出るものとがある。ソゾ属の藻体からは種々の臭素化合物が検出されており,それらには抗菌作用をもつものがあるとされる。日本ではとくに利用しないが,ハワイやインドネシアでは食用とし,スコットランドやアイルランドではpepper dulseの名で乾燥粉末を香味料に用い,アイスランドではかみタバコとして用いることがある。
執筆者:千原 光雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報