内科学 第10版 「その他の尿路感染症」の解説
その他の尿路感染症(尿路感染症)
a.腎膿瘍(renal abscess)
腎膿瘍は腎実質中に膿性分泌物が貯留し膿瘍を形成した状態である.腎盂腎炎同様に発熱や腰痛がみられる.血行性感染や尿路の上行性感染により発症すると考えられている.抗菌薬による化学療法が治療の主体だが,膿瘍の穿刺,ドレナージ,腎摘除などの外科的処置が必要となるケースも少なくない.
b.腎乳頭壊死(renal papillary necrosis)
腎乳頭の壊死,脱落をきたす劇症急性炎症で菌血症を伴う重篤な感染症である.発熱,強い腰痛,肉眼的血尿,膿尿がみられ,ショックに陥ることも少なくない.糖尿病患者の腎盂腎炎や鎮痛薬(おもにフェナセチン)の長期連用例の間質性腎炎に合併することがある.[久末伸一・堀江重郎]
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報