腎乳頭壊死

六訂版 家庭医学大全科 「腎乳頭壊死」の解説

腎乳頭壊死
(腎臓と尿路の病気)

 腎乳頭壊死は、腎臓の内側にある腎乳頭という部分に血液が流れなくなる(虚血(きょけつ))病気で、別名腎髄質壊死(じんずいしつえし)」とも呼ばれます。腎乳頭(髄質)はもともと血流が乏しい組織なので、虚血に陥りやすいという特徴があります。糖尿病鎮痛薬痛み止め)の多用が原因になったり、腎盂腎炎(じんうじんえん)が波及して発症します。

 症状としては血尿や混濁尿発熱や腰痛・側腹部痛などがみられます。尿中に壊死した組織がみられたり、尿路を閉塞して水腎症(すいじんしょう)から腎不全を起こすこともあります。

 予防は、鎮痛薬の乱用をやめたり、糖尿病をしっかりと治療することが重要です。特定の治療法はありませんが、鎮痛薬が原因と考えられた場合には服用を中止します。

 腎盂腎炎が原因の場合や他の尿路感染症を併発している場合には、適切な抗生剤を使用します。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「腎乳頭壊死」の意味・わかりやすい解説

腎乳頭壊死
じんにゅうとうえし
renal papillarynecrosis

腎盂腎炎の特殊な型で,腎錐体先端 (腎乳頭) の壊死を特徴とする。急性の電撃型は,糖尿病や尿管狭窄に続発し,発熱および乏尿から急速に腎不全に陥り,尿毒症状を呈して死亡する。慢性型は腎盂炎様の発熱や尿管結石様の疼痛発作を繰返すうちに腎機能が徐々に低下する。リウマチなどのためにフェナセチンを含んだ鎮痛剤を長期に連用する人に起りやすく,この場合は腎盂癌にまで発展する危険もある。

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