腎膿瘍(読み)じんのうよう(英語表記)renal abscess

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

腎膿瘍
じんのうよう
renal abscess

腎臓に多発性の膿瘍が形成された状態をいう。外傷,尿うっ滞,血行障害などで腎臓の抵抗力が減退しているときや,細菌の毒力が強力なときに,血行性感染によって起る。膿瘍は,腎皮質に多発するもの (粟粒性腎皮質膿瘍) が多いが,髄質とか腎乳頭に限局することもある。小膿瘍が集合し,周囲に炎症性結合組織の増殖を伴う腎カルブンケルもある。これらの膿瘍の多くは,自潰して腎周囲膿瘍を形成する。症状は次第に腰部に限局する腹痛と高熱,悪寒が中心。治療には強力な化学療法を行うが,無効ならば外科的に切開する。

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家庭医学館の解説

じんのうよう【腎膿瘍 Renal Abscess】

[どんな病気か]
 腎臓(じんぞう)の組織(腎実質(じんじっしつ))でも、とくに外側の皮質(ひしつ)あたりに、膿(うみ)のかたまりができた病気です。
 感染をおこす細菌は、からだのほかの部分にある感染巣から血行にのって運ばれてきます。原因菌の多くは、グラム陽性球菌(ようせいきゅうきん)です。
 小さな膿のかたまり(膿瘍(のうよう))が多数できたり、それが融合する状態になると、腎実質のほとんどが膿で占められることもあります。
 これが腎臓をおおっている膜(まく)を破って、外の組織にも感染すると、腎周囲膿瘍(じんしゅういのうよう)(「腎周囲膿瘍」)になります。
[症状]
 寒けや震えをともなう高熱が出ます。また、腎臓部(わき腹)に痛みがあり、とくにたたくと痛みが強くなります。
[検査と診断]
 圧痛をともなう腫大(しゅだい)した腎臓をわき腹に触れます。
 感染のもとになった細菌は、扁桃腺(へんとうせん)や皮膚の化膿性疾患(かのうせいしっかん)からくることが多いので、そのような感染巣がないかを調べます。
 血液検査では、白血球(はっけっきゅう)増加や血液沈降速度(血沈(けっちん))の亢進(こうしん)など、炎症があることを示す結果が得られます。
 静脈性腎盂撮影(じょうみゃくせいじんうさつえい)、CTスキャン、超音波検査などの画像検査で、膿瘍のある部位、大きさを調べます。
[治療]
 膿瘍が小さければ、強力な抗菌薬を使った化学療法で治癒(ちゆ)させることができます。症状が強く、また膿瘍が大きくなっている場合は、切開(せっかい)して膿をとることが必要です。
 敗血症(はいけつしょう)(「敗血症」)のおそれがあれば、腎臓を摘出することもあります。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

腎膿瘍
じんのうよう

腎臓の化膿性疾患で、皮膚や扁桃(へんとう)などの化膿巣から細菌が血行性に腎臓に運ばれておこる。原因菌としては黄色ブドウ球菌が多い。腎皮質に多数の小膿瘍を形成する場合が多いが、ときに限局性に孤立した大きい膿瘍をつくることもある。また、いくつかの小膿瘍が集合して皮膚のカルブンケルKarbunkel(癰(よう))と同様の病像を呈するものがあり、腎カルブンケルとよぶ。症状は悪寒戦慄(せんりつ)を伴う高熱、腎部の疼痛(とうつう)などであるが、膿瘍が腎盂(じんう)に破れることはまれであり、尿の変化は少ない。腎臓のX線撮影、画像診断などの所見を総合して診断が下される。強力な化学療法を行うが、これが効を奏しない場合や腎周囲に膿瘍が破れた場合には、手術が必要となる。[河田幸道]

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