フェナセチン(読み)ふぇなせちん(英語表記)phenacetin

翻訳|phenacetin

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フェナセチン」の意味・わかりやすい解説

フェナセチン
ふぇなせちん
phenacetin

解熱鎮痛剤。白色結晶または結晶性粉末。消化管からよく吸収され、代謝されてアセトアミノフェンとなり薬理効果を発揮するといわれている。副作用としてメトヘモグロビン形成によるチアノーゼ、呼吸困難、頻脈、体温下降などを伴う虚脱症状、腎(じん)障害が大量連用時におこりやすく、溶血性貧血もみられる。いわゆるかぜ薬によく配合されていた。

 厚生労働省は、長期に大量に服用した場合の腎障害や腎盂(じんう)・膀胱腫瘍(ぼうこうしゅよう)の発生の増大などについて、医療関係者に注意を呼びかけており、フェナセチン含有の一般用医薬品については1982年(昭和57)以降認めていない。さらに、2000年(平成12)11月から2001年3月にかけて医療用医薬品の長期大量服用による重篤な腎障害の報告が相次いだため、フェナセチンの供給を停止するよう要請し、2001年4月19日をもって各企業では自主的に供給停止が行われた。

[幸保文治]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フェナセチン」の意味・わかりやすい解説

フェナセチン
phenacetin

C10H13NO2 。アセトフェネチジンともいう。P-フェネチジンを酢酸と無水酢酸ソーダとともに還流して合成する。苦みのある結晶もしくは粉末。水に微溶,アセトン,クロロホルムエチルアルコールにはよく溶ける。解熱鎮痛剤として使用される。長期間投与では腎臓障害がみられる。獣医薬にも用いる。

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