日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソンガイ」の意味・わかりやすい解説
ソンガイ
そんがい
Songhai
Songhay
西アフリカ、ニジェール共和国とマリ共和国に住むナイル・サハラ語系部族。人口約264万(1996)。ニジェール川両岸沿いで農耕および漁労を営む。ウシ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリなども飼育している。ソンガイの起源は古く、おそらくリビアからきたベルベル人の一派により7世紀に最初のソンガイの国が建てられた。15世紀にソンガイ帝国はその頂点に達したが、現在は彼ら自身の別個の国家はもたない。植民地化以前には、ソンガイ王朝の系譜を引く貴族、商人・職人・農民などからなる平民、そして奴隷の三つの社会階級に分かれていた。奴隷制は1898年にフランスによって禁止されている。しかしこの三つの社会階級に基づく区分は現在でも存続している。かつて父系出自のもとでの血統の純粋さを保つために、貴族層の娘は同じ貴族層の息子としか結婚できなかった。男は貴族以外の女とも結婚できたが、父方平行いとこ婚(父の兄弟の娘との結婚)が好まれた。この婚姻パターンは現在でも地方の貴族層において行われている。しかし貴族層以外ではむしろ交差いとこ婚(たとえば母の兄弟の娘との結婚)が好まれている。貴族層はイスラム教徒であるが、非貴族層では伝統宗教も根強く、正統イスラム教では認められていない精霊憑依(せいれいひょうい)が盛んである。また男性は割礼(かつれい)を受けるが女性は行わない。
[加藤 泰]