日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゾスタク」の意味・わかりやすい解説
ゾスタク
ぞすたく
Jack W. Szostak
(1952― )
アメリカの生物学者。イギリス生まれで、アメリカのコーネル大学で博士号を取得。ハーバード大学の準教授を経て教授。ハワード・ヒューズ医学研究所の研究員も兼務。2009年、ブラックバーン、グライダーとともに「テロメアとテロメア合成酵素による染色体保護の仕組みの発見」によりノーベル医学生理学賞を受賞した。
テロメアは、染色体の末端部分に位置する特定のDNA配列をさす。細胞が分裂を繰り返すとテロメアはどんどん短くなっていき、ある長さになると分裂できなくなって、細胞は寿命を迎える。
ゾスタクはブラックバーンとともに、テロメアが染色体を損傷や劣化から保護していることを解明した。さらにブラックバーンとグライダーはテロメアの長さを元に戻すテロメア合成酵素(テロメラーゼ)を発見した。テロメアとテロメラーゼは、遺伝病やがん、老化現象とも深くかかわっていることがわかり、病気の予防研究の開発などへの道も開いた。
[馬場錬成]