グライダー(読み)ぐらいだー(英語表記)glider

翻訳|glider

デジタル大辞泉 「グライダー」の意味・読み・例文・類語

グライダー(glider)

エンジンプロペラをもたずに滑空する航空機。ウインチや飛行機に引っ張られて離陸し、上昇気流を利用して飛ぶ。滑空機。
[類語]ハンググライダーパラグライダー

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精選版 日本国語大辞典 「グライダー」の意味・読み・例文・類語

グライダー

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] glider ) エンジンを持たないで滑空する航空機。機首の前端にロープをつけ、人力、飛行機、ウインチなどに引っ張られて離陸し、一定高度に上昇してからは固定翼に受ける風や上昇気流を利用して滑空する。滑空機。〔現代用語辞典(1925)〕
    1. [初出の実例]「あの山のスロープを利用して、グライダアをやってみようと思ふんです」(出典:浅間山(1931)〈岸田国士〉一)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「グライダー」の意味・わかりやすい解説

グライダー(航空機の一種)
ぐらいだー
glider

航空機の一種で、飛行機のようにプロペラやジェットエンジンなどの推力装置をもたず、機体の主翼に働く空気力によって飛行する機体。滑空機ともいう。

[野口常夫]

歴史

実用的なグライダーの研究は1891年ドイツのリリエンタールによって行われた。彼は滑空している鳥の飛び方を研究してグライダーを試作し、滑空飛行に成功した。このグライダーは、鳥の翼に似せてつくられた主翼の中央に人間がぶら下がって飛ぶ機体で、リリエンタールは6年間に総計2000回以上もの滑空実験を行い、正しく設計された翼は、人間の体重を支えうるということを実証した。1903年アメリカのライト兄弟は世界で初めての飛行機による動力飛行に成功したが、その2年前、兄弟はグライダーを製作し滑空実験を繰り返して、機体の研究と操縦の練習を行った。1920年ごろからグライダーはスポーツとして注目され、ヨーロッパを中心に各国で行われるようになった。第二次世界大戦になるとグライダーはパイロットの基礎訓練用として使われ、軍隊輸送用の大型機体も開発された。戦後ふたたびグライダー飛行はアメリカ、ヨーロッパを中心にスポーツとして行われるようになった。現在のグライダーは航空技術の目覚ましい進歩と新しい材料の使用により、その性能は飛躍的に向上した。

[野口常夫]

分類

グライダーはその性能からプライマリー・グライダーprimary glider、セコンダリー・グライダーsecondary glider、そしてソアラーsoarerの3種類に分けることができる。国土交通省(旧運輸省)の耐空性基準では、強度上の要件から滑空機実用(U)、滑空機曲技(A)に分類されている。

 プライマリー・グライダーは、普通、木製のトラス胴体に木製羽布張りの主翼がつき、上下から張り線によって固定されている簡単な構造で、操縦者は胴体先端の座席にむき出しのまま座り、計器類はない。太いゴム索を20人ぐらいの人によってV字形に引っ張り、十分な張力がついたところで発航するようになっている。この機体は空気抵抗が非常に大きく性能が悪いため、現在ではまったく使用されていない。

 セコンダリー・グライダーは、プライマリーの操縦席の周りをナセル(風防(ふうぼう))で囲み空力(くうりき)的改善を行った機体で、簡単な計器類がついた機体や、複座型になった機体がある。自動車に300メートルほどのワイヤをつけて発航する自動車曳航(えいこう)と、自動車用のエンジンにドラムをつけワイヤを巻き取って発航させるウィンチ曳航の方法があり、200~300メートルの高度まで上昇させることができる。この機体も現在はプライマリーと同様にほとんど使用されていない。

 現在使用されているグライダーのほとんどはソアラーとよばれる高性能グライダーである。ソアラーには練習用の複座型と単座型があり、練習生は最初複座機で教官といっしょに乗り練習する。発航はウィンチ曳航と飛行機曳航がある。飛行機曳航は、飛行機にロープをつけグライダーを曳航する方法で、1980年に入ってもっとも一般的な方法となってきた。飛行機曳航の利点は、グライダーを離脱する高度が自由に選べ、もっとも気流のよい所までグライダーを引っ張っていけることである。

[野口常夫]

原理・性能

グライダーはプロペラなどの推力装置をもたないため、飛行機のように一定の速度で水平飛行することができない。グライダーが一定の速度で滑空しているときは、水平面に対して一定の角度で滑空していることになる。この角度を滑空角という。滑空中のグライダーには滑空方向からグライダーの速度に等しい風(相対風)が当たることになり、この風によって機体には揚力と抗力が発生する(図A)。揚力は滑空方向に対して垂直方向に働き、抗力は滑空方向に対して反対の方向に働くことになる。機体の重心には重力が水平面に対して垂直方向に働いている。この重力は滑空方向に対して前向き成分と下向き成分とに分けることができ、重力の下向き成分と揚力とが等しく、重力の前向き成分と抗力が等しいとき、グライダーは一定の速度を保って滑空をする。ここで滑空角θは揚力と抗力の比(揚抗比)によって決まり、この値は距離と高さの比(滑空比)と同じになる。すなわち、一定の速度で滑空しているグライダーの揚抗比と滑空比は等しく、この値から滑空角を知ることができる。また滑空中のグライダーの垂直方向速度を沈下率(図B)といい、滑空比とこの沈下率の値がグライダーの性能を表している。

 このようにグライダーの性能は揚抗比の大きさに左右され、性能をあげるためには機体の抗力を小さくすることが必要となる。機体の抗力は誘導抗力と形状抗力とからなっている。誘導抗力は主翼の翼端から出る渦によって生じ、この誘導抗力は主翼の縦横比アスペクト比ともいう。(図C)〕と大きな関係があり、縦横比を大きくすることによって誘導抗力を減少することができる。形状抗力は機体の形に影響され、現在の高性能ソアラーでは、操縦者はあおむけに近い姿勢で乗る機体が多くなっており、これにより胴体の断面積を小さくして形状抗力の減少を図っている。また車輪も飛行中胴体の中に引き込める構造になっている。最新の高性能ソアラーは縦横比20~30の主翼をもち、滑空比は35~40、沈下率は毎秒0.6~0.8メートルほどである。

 グライダーの主翼には翼の上面と下面に出るスポイラーがついており、操縦者の操作によって出すことができ、このスポイラーによって機体の揚抗比を変えて滑空角を操縦者が調節する。これにより着陸時、正確に目標地点に着陸させることができる(図D)。

[野口常夫]

構造

グライダーの機体の構造は大きく分けると、木製羽布張り構造、全金属製応力外皮構造、強化プラスチック応力外皮構造の三つがある。木製羽布張り構造の機体の主翼は一般にヒノキスプルース(ベイトウヒ。マツ科の常緑針葉樹)などの木材で骨組をつくり合板や羽布を張り、その上に塗料を塗って仕上げている。一部の高性能ソアラーは全金属製応力外皮構造を採用しており、飛行機と同じようにアルミニウム合金が使用されている。高性能ソアラーの多くは強化プラスチック応力外皮構造で、これにより機体の外形を空力的に理想に近い形にすることができ、また機体表面が滑らかに仕上げられるため、機体の性能は飛躍的に進歩した。

[野口常夫]

飛行

グライダーは動力をもたないため、上昇したり目的地への飛行には上昇気流を使うことになる。上昇気流には、(1)斜面上昇気流(山などの斜面に向かって吹いた風が、これに沿って上昇するもの)、(2)長波上昇気流(山の斜面に沿って上昇した風が、山の風下側に波状の気流を生じさせるもの)、(3)熱上昇気流(太陽の放射熱で地表が暖められ、その部分の空気が上昇するもの)の三つがある(図E)。操縦者はこれらの上昇気流をみつけ、その中で旋回したり低速飛行をしたりして上昇し、大空を自由に飛ぶことができる。

 また、操縦装置がなく、操縦者を機体からハーネス(操縦者を機体から水平につるすベルト)でつり、操縦者はコントロールバーを両手で握り、体を前後左右に動かして機体の重心位置を変えて操縦するものをハンググライダーhang gliderまたはカイトkiteという。これは、1970年代アメリカのカリフォルニアを中心に世界中で流行した。75年にはFAI(Fédération Aéronautique Internationale国際航空連盟)で正式に加盟が認められ、新しい空のスポーツとなった。

 1980年代に入ると、ヨーロッパを中心にパラグライダーが使用されるようになってきた。パラグライダーは、化学繊維の布を翼の断面形状をもった形(キャノピー)に縫い合わせ、前縁に沿って開口部(エアインテーク)をつくり、空気がこのキャノピーに当たるとラム圧(空気中を進行するときの前進圧)で脹(ふく)らみ、翼の形状となる。キャノピーには多くのライザーとよばれる細い繊維のひもが取り付けられている。この多くのライザーはキャノピーの下方で2か所に束ねられ、これによってキャノピーの形状が保たれている。束ねられたライザーにパイロットが乗り固定できるハーネスとよばれる座席がついている。パイロットはこれに乗って飛行する。キャノピー左右の後縁にはブレークコードとよばれるコードがあり、このコードをパイロットが手で操作することによって左右の翼の断面形状が変化し、パラグライダーを操縦することができる。

 パラグライダーには骨組みがなく、折りたたんで専用のケースに入れて、1人で容易に運べるため、その手軽さから急速に普及した。現在では、ハンググライダー、グライダーより愛好者人口は多くなり、FAIの規定による世界選手権大会など世界各地で多くの競技会が開催されている。

[野口常夫]

『ゴンチャレフ著、森山岩夫訳『最新の滑翔技術と戦術』(1955・日本航空協会)』『原田覚一郎著『グライダー操縦の基礎』(1969・鳳文書林)』『『ライフ/人間と科学シリーズ 飛行の原理』(1975・タイムライフブックス)』『平田実編・写真、岡良樹ほか文『ハングライダー――鳥になる本』(1988・成美堂出版)』『『ハングライダー入門』(1991・日本放送出版協会)』『デービッド・ジェフリズ著、東昭監修『ポケットペディア 航空機』(1997・紀伊國屋書店)』『マイケル・テイラーほか著『航空ギネスブック 日本語版』(1998・イカロス出版)』『リチャード・テームズ著、森泉亮子訳『ライト兄弟――空にあこがれた「永遠の少年」』(1999・国土社)』『木村春夫編、佐藤博著『日本グライダー史』(1999・海鳥社)』『鈴木真二著『はなしシリーズ ライト・フライヤー号の謎――飛行機をつくりあげた技と知恵』(2002・技報堂出版)』『『イカロスMOOK パラグライダーにチャレンジ』(2003・イカロス出版)』



グライダー(Carol W. Greider アメリカの生物学者)
ぐらいだー
Carol W. Greider
(1961― )

アメリカの生物学者。カリフォルニア大学バークリー校で博士号を取得。コールド・スプリング・ハーバー研究所研究員を経てジョンズ・ホプキンズ大学教授。2009年、ブラックバーンゾスタクとともに「テロメアとテロメア合成酵素による染色体保護の仕組みの発見」によりノーベル医学生理学賞を受賞した。

 テロメアは、染色体の末端部分に位置する特定のDNA配列のことで、細胞が分裂するたびに短くなっていく。テロメアがある長さになると、細胞は分裂できなくなり、寿命を迎える。

 ブラックバーンとゾスタクは、テロメアが染色体を損傷や劣化から保護していることを解明した。また、グライダーはブラックバーンとともにテロメアの長さを元に戻すテロメア合成酵素(テロメラーゼ)があることを発見した。テロメラーゼは、生殖細胞や幹細胞にもあり、老化現象と関係があるともいわれている。遺伝病や癌(がん)とも深くかかわっていることがわかり、病気の予防研究の開発などへの道も開いた。

[馬場錬成]

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改訂新版 世界大百科事典 「グライダー」の意味・わかりやすい解説

グライダー
glider

滑空機とも呼ばれる。飛行機のように固定翼をもつが,推進のための動力はもたず,上昇気流を利用して上昇したり,長距離を滑空する航空機。小型のエンジンと推進器をもち,自力で離陸,上昇し,空中でエンジンを止めて滑空を行うものはモーターグライダーmotor gliderという。

固定翼をつけた航空機は,前進することで翼に働く空気力を利用して空中に浮くことができるが,この空気力のうち,進行方向に垂直上向きに働く力を揚力,進行方向に平行で後向きに働く力を抗力と呼ぶ。定常飛行では揚力は重力とつり合い,推進器を備えた飛行機では,水平飛行ができて推力と抗力とがつり合う。グライダーは通常推進器をもたず,したがって無風時での定常水平飛行はできないが,前進しながら降下するという定常降下飛行は可能で,これを滑空と呼ぶ。また滑空時に飛行経路が水平面となす角を滑空角glide angleまたは降下角と呼ぶ。ある高度Hから滑空して進んだ水平飛行距離Xとの比H/Xが滑空角の正接で,その逆数X/Hを滑空比glide ratioといい,その値は揚力Lと抗力Dとの比,いわゆる揚抗比L/Dに等しい。滑空時には,重力の余弦が揚力と,そして正弦が抗力とつり合っている。つまり滑空機の推力は重力の進行方向成分から得られている。ある高度から,どこまで滑空できるかは,したがって揚抗比に左右され,例えばこの値が30であれば,1kmの高度から滑空に入ると,無風時でも30kmの距離まで滑空することが可能である。

グライダーは模型機では早くから研究されていたようであるが,その中で有名なのはG.ケーリーによるもので,1804年,主翼のほかに,安定のための水平,垂直の両尾翼がついた模型グライダーによる滑空実験を行ったといわれている。有人機での実験に成功し,今でも高い評価を得ているのはオットーとグスタフのリリエンタール兄弟である。彼らの鳥をまねて作った機体は,現在ハンググライダーと呼ばれる人がぶら下がる形式のもので,62年から徐々に改良を重ねていき,ついに高さ約50mの丘から斜面を利用して数百mは滑空できるものに仕上げた。O.リリエンタールの墜落死(1896)以後,何人かの後継者がグライダーの改良を続けたが,その中の一人であるアメリカの鉄道技師シャヌートOctave Chanute(1832-1910)は,複葉のグライダーを製作し,1000回を超える滑空に成功したうえ,飛行機械についての本も出版した。多くの彼への問合せの手紙の中には,ライト兄弟の兄ウィルバーのものもあり,ライト兄弟はシャヌートを師とし,彼らなりにも滑空実験を行った後,1903年12月17日の飛行機による初飛行に成功したのである。飛行機の発達によってグライダーは一時期忘れられた存在となったが,第1次世界大戦後飛行機の製造が制限されたドイツでは,グライダーの研究が盛んとなり,これが契機となってスポーツとしてのグライダーが世界的に普及した。第2次世界大戦では兵員,軍事,物資の輸送用に大型のグライダーも開発されたが,戦後は再びスポーツとしてのグライダーがもっぱらである。

 なお,かつてはグライダーの操縦訓練において,ごく初歩の訓練用のプライマリーprimary,中級訓練用のセコンダリーsecondaryと呼ばれる機体での訓練を経て,揚抗比が30を超すような高性能のソアラーsoarerに進むという3段階がとられていたが,現在では初歩からソアラーの複座機で訓練が行われており,プライマリー,セコンダリーは姿を消している。

原理のところで述べたように,グライダーでは揚抗比が大きくなるほど遠くまで飛行することができる。揚抗比を高めるには,胴体をむだな突起物の少ない流線形として抵抗を減らすことも重要であるが,翼弦に対して翼幅の大きい細長い翼,すなわちアスペクト比の大きい翼とすることで大きな効果が得られる。これはアスペクト比の大きい細長い翼は,翼端から出る渦による空気抵抗が小さいためで,通常グライダーではこの値は15~30である。グライダーではこのようにアスペクト比が大きい翼が必要で,しかも表面仕上げが良好な流線形が要求されるため,製作のしやすさから機体材料として早くから複合材料が採用された。今後,繊維強化プラスチックなどの新しい複合材料の使用が増えるにつれて軽量化が進み,また剛性も増すので,記録も伸びるとともに,高度な曲技飛行も可能になると思われる。

 グライダーは風があると実際の対地滑空角が変わってくる。とくに上昇気流がある場合には,降下速度がその分だけ減るので,滑空距離や耐空時間が延びる。上昇気流は,市街地や畑地の上空に見られる熱気泡,山の風上側斜面に見られる斜面上昇風,山の風下側に生ずる山岳波,寒冷・温暖前線の暖空気の側に見られる前線上昇風などに存在し,これらの上昇気流をうまくつかまえて利用することが,グライダーの長距離滑空では重要になる。

グライダーの発進には,かつてはゴムの索を用いてパチンコ式に打ち出す方法もあったが,現在多く使われているのは,自動車や飛行機によってロープで引いてもらうか,ウィンチでロープを巻きとってもらう方式である。いずれもある高度まで達した後はロープをはずし,滑空に移る。また小型のエンジンと推進器を備えているモーターグライダーでは離陸は自力で行う。
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百科事典マイペディア 「グライダー」の意味・わかりやすい解説

グライダー

滑空機とも。原動機をもたない固定翼航空機で,上昇気流を利用して上昇したり,長距離を滑空するもの。木骨布張りのほか全軽金属製や強化プラスチック製もある。有人機として最初に実験に成功したのはドイツのリリエンタール兄弟で,1895年に飛行距離は350mに達したという。第2次大戦中は軍隊輸送用に数十人乗りの大型機もつくられたが,現在はもっぱらスポーツ用である。かつては初級練習用のプライマリー・グライダー,中級練習用のセコンダリー・グライダー,高性能のソアラーがあったが,現在では初歩から複座のソアラーによる訓練が行われており,前2者は姿を消している。 水平滑空距離と発進高度との比すなわち滑空比は機の揚抗比に等しいから(滑空),揚力の割に抗力を極力減少するため,非常に細長い主翼と極度に流線化された胴体とし,滑空比30以上に達する。また1秒間に失う高度(沈下速度)は毎秒0.5〜1mで,大気中にこれ以上の速度をもつ上昇気流があれば機体は上昇できる。→ハンググライダー
→関連項目グライダー競技航空航空機パラグライダー飛行機

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グライダー」の意味・わかりやすい解説

グライダー
glider

動力を用いない固定翼の航空機。滑空機ともいう。他の飛行機,自動車またはウインチに曳航され,ごく初歩のものは人の引くゴムコードで引き出されて,上昇し,曳航索を切り離したあとは,滑空して地上に戻る。上昇気流を利用して滑空を楽しむスポーツ用のものをソアラー soarerまたはセイルプレン sailplaneと呼び,最大滑空比 40以上,最小沈下率 0.3m/s以下に達する機種もある。ソアラーのなかには,上昇気流をとらえて,滑空を続けることにより1万 2000m程度の高空に達し,あるいは上昇気流のある場所を次々とたどって 1000kmにも及ぶ長距離を飛行できるものもある。多くは単座もしくは複座だが,第2次世界大戦中ドイツで物資あるいは兵員輸送用の大型グライダーがつくられたこともある。現在は,エンジンをつけて自力で離陸し,上空でエンジンを止めて滑空するモーターグライダーも登場している。 (→グライダー競技 )

グライダー
Greider, Carol W.

[生]1961.4.15. カリフォルニア,サンディエゴ
アメリカ合衆国の分子生物学者。フルネーム Carol Widney Greider。1983年カリフォルニア大学サンタバーバラ校卒業後,同大バークリー校で博士号を取得。1988年からコールドスプリングハーバー研究所で博士研究員を務めたのち,1997年からジョンズ・ホプキンズ大学医学部教授。2006年にラスカー賞を受賞。1984年にエリザベス・H.ブラックバーンと共同で,染色体の末端を守り遺伝情報をうまくコピーするための繰り返し構造テロメアを合成し伸ばす酵素を発見,テロメラーゼと名づけた。2009年,テロメアの解明への貢献により,ブラックバーンおよびジャック・W.ショスタクとともにノーベル生理学・医学賞を受賞した。

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世界大百科事典(旧版)内のグライダーの言及

【風】より

…帆船は船員の訓練に使用されており,日本では運輸省所属の〈日本丸〉が活躍している。
[グライダー,航空機]
 18世紀から19世紀にかけて盛んに試みられたものに自由気球があり,現在では熱気球による太平洋横断などが試みられている。第2次大戦中には偏西風を利用した風船爆弾が日本からアメリカ大陸に向けて数多く飛ばされた。…

【グライダー競技】より

…グライダーを操縦して,滑空距離や滑空速度を競い合う空のスポーツ。第1次世界大戦後,動力付きの飛行機の製造を禁止されたドイツで盛んになり,欧米各国にも広がった。…

※「グライダー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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