ブラックバーン(読み)ぶらっくばーん(英語表記)Elizabeth H. Blackburn

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブラックバーン」の意味・わかりやすい解説

ブラックバーン(Elizabeth H. Blackburn アメリカの生物学者)
ぶらっくばーん
Elizabeth H. Blackburn
(1948― )

アメリカの生物学者。オーストラリア生まれで、オーストラリアのメルボルン大学を卒業後、イギリスケンブリッジ大学で博士号を取得。アメリカのカリフォルニア大学バークリー校助教授を経てカリフォルニア大学サンフランシスコ校教授。2009年、グライダーゾスタクとともに「テロメアとテロメア合成酵素による染色体保護の仕組みの発見」によりノーベル医学生理学賞を受賞した。

 染色体の末端部分に位置する特定のDNA配列のことをテロメアという。テロメアは細胞が分裂するたびに短くなっていき、ある長さになると細胞は分裂できなくなり、寿命を迎える。

 ゾスタクとともに、テロメアが染色体を損傷劣化から保護していることを解明し、さらにグライダーとともにテロメアの長さを元に戻すテロメア合成酵素(テロメラーゼ)を発見した。テロメラーゼは、生殖細胞幹細胞にもあり、老化現象と関係があるともいわれている。遺伝病やがんとも深くかかわっていることがわかり、病気の予防研究の開発などへの道も開いた。

[馬場錬成]


ブラックバーン(イギリスの地名)
ぶらっくばーん
Blackburn

イギリス、イングランド北西部にあるユニタリー・オーソリティーUnitary Authority(一層制地方自治体)の工業都市で、行政地名はBlackburn with Darwenという。人口13万7471(2001)。エリザベス1世(在位1558~1603)時代には人口2000の市場町であったが、産業革命期に有力な綿工業都市の一つに成長した。近くに産した石炭と石灰石、1816年開通のリーズ・ブラックバーン・リバプール運河が発展の主因である。今日では綿工業地位が下がり、機械および食品工業が盛んになった。ルイス繊維博物館があり、往時の資料に富む。

[久保田武]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブラックバーン」の意味・わかりやすい解説

ブラックバーン
Blackburn

イギリスイングランド北西部,ブラックバーンウィズダーウェンの行政府所在地。マンチェスター北北西約 35km,ペナイン山脈西部のブラックバーン谷にある。古くから織物工業で知られる町で,13世紀には毛織物の生産が行なわれていたが,16世紀後半エリザベス朝時代にはアイルランドアマを用いてリンネルの生産が盛んとなり,人口 2000の町は市場町として繁栄。その後綿織物が中心となり,18世紀後半に紡機その他の織物機械が発明されてから,織物工業都市として急速に発展した。織物工業に従事する住民が多いが,ほかに機械,電気器具,製紙,自動車,ビール醸造など多種の工業が行なわれる。付近からは石炭,石灰岩などを産出する。人口 10万5085(2001)。

ブラックバーン
Blackburn, Elizabeth H.

[生]1948.11.26. ホバート
オーストラリア生まれのアメリカ合衆国の生物学者。フルネーム Elizabeth Helen Blackburn。メルボルン大学卒業後,1975年にケンブリッジ大学で博士号を取得。エール大学での博士研究員を経て,カリフォルニア大学バークリー校で助教授(1983),教授(1986)を務めたのち,1990年からカリフォルニア大学サンフランシスコ校教授。ベンジャミン・フランクリン・メダル(2005),ラスカー賞(2006)など受賞多数。1984年にキャロル・W.グライダーと共同で,染色体の末端を守り遺伝情報をうまくコピーするための繰り返し構造テロメアを合成し伸ばす酵素を発見,テロメラーゼと名づけた。2009年,テロメアの解明への貢献により,グライダーおよびジャック・W.ショスタクとともにノーベル生理学・医学賞を受賞した。

ブラックバーン
Blackburn, Joseph

[生]1730頃
[没]1774?
イギリス生れのアメリカの画家。 1753~63年ボストンで活躍。イギリス・ロココ調の画風でコロニアル時代の優美な婦人の肖像を描いた。主要作品『マーガレット・シルベスター・チーズバラ夫人』 (1754,メトロポリタン美術館) 。約 100点の肖像画が残る。

ブラックバーン
Blackburn, Robert

[生]1885.3.26.
[没]1955.9.10. エクセター
イギリスの技師。 1909年に世界で初めて全金属製の飛行機を設計,製作した。その製作機は第1次世界大戦の花形機となった。 14年ブラックバーン飛行機製作会社を創設。

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百科事典マイペディア 「ブラックバーン」の意味・わかりやすい解説

ブラックバーン

英国,イングランド北西部,ランカシャー州の工業都市。マンチェスターの北西,リーズ〜リバプール間の運河に面し,綿紡織工業の中心をなす。キャラコの産に特色がある。ジェニー紡績機を発明したハーグリーブズの出身地で,紡績機械,電機,皮革などの工業もある。14万7489人(2011)。

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