普及版 字通 「タイ・シ・にく」の読み・字形・画数・意味
6画
[字訓] にく
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 象形
軍が出征するときに奉ずる祭肉の形で、師の初文。卜文・金文に師の字として用いる。〔説文〕十四上に「小(ふ)(阜)なり。象形」とあり、徐鉉注に「今、俗に堆(たい)に作る」という。を大阜、を小阜の形とするものであるが、は神の陟降する神梯の象で、堆阜とは関係のない字である。おおむね神の関係に用いる。は肉の象であるから、おおむね軍事に用いる。軍の拠点を(し)といい、肉を安置する所。建物ならば官・館。軍の行動には追・遣という。〔周礼、春官、大祝〕〔礼記、王制〕に、大師を興すときの祭祀と、その受の礼が詳しく記されている。
[訓義]
1. にく、祭肉、軍の出征のときに奉ずる肉。
2. 堆と音が通じ、つちくれ。
[古辞書の訓]
〔字鏡集〕 ツチクレ
[部首]
〔説文〕〔玉〕に(げつ)・官の二字を属する。は(げつ)の初文。肉を懸し、辛(曲刀)で肉を削ぐ意で、災禍をいう。官は肉を安置する所で、これを守るものを軍官という。また〔説文〕は(けん)を部十四下に属するが、は肉を携える形で、(遣)の初文。軍を派遣することをいう。
[声系]
〔説文〕に声として歸(帰)・(追)・帥()の三字を収める。歸は軍の帰還の礼を示す会意字。は追撃、帥はもと軍帥をいう。〔説文〕に帥を佩巾の意とするのは、の字義である。系の字は、もとみな軍事に関している。
[語系]
(堆)tuiがもしの古音であるならば、朶tuai、多taiなどと声近く、多は重ねた肉、朶(だ)は枝端の花の垂れる形で、うち重なり、垂れる意をもつ語であろう。はtuiのように軍事行動に関する字で、肉の肉塊の象。肉の垂れ崩れるさまを隋duaiという。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報