日本大百科全書(ニッポニカ) 「タカラダニ」の意味・わかりやすい解説
タカラダニ
たからだに / 宝蜱
erythaeid mites
節足動物門クモ綱ダニ目タカラダニ上科Erythraeoideaに属するダニの総称。幼虫は昆虫などに寄生するので幼虫のほうがよく知られており、その体色が朱色で美しく昆虫が宝物を身につけているようにみえるのでタカラダニという名がついた。幼虫の体長は0.3~0.5ミリメートル、卵円形でつやのある美しい橙赤(とうせき)色。胴の毛は比較的長く、成虫の場合のように密生することはない。口器はよく発達し、前方に突出する。アブラムシにつくアリマキタカラダニErythraeus nipponicus、セミにつくセミタカラダニLeptus trimaculatus、イナゴにつくヤマトタカラダニL. japonicus、ザトウムシにつくスジタカラダニL. hidakaiなど、少なくとも日本に20種は生息している。成虫は体長1~2ミリメートル、褐色、暗赤色、鮮紅色などで体や脚(あし)に短毛を密生する。脚は長い。幼虫と異なって寄生性はなく、地表で自由生活をし、小さな虫などを捕食する。
[青木淳一]