日本大百科全書(ニッポニカ) 「タケノコメバル」の意味・わかりやすい解説
タケノコメバル
たけのこめばる / 筍目張
oblong rockfish
[学] Sebastes oblongus
硬骨魚綱カサゴ目フサカサゴ科に属する海水魚。北海道南部から九州までの日本各地および朝鮮半島南部に分布する。関西でタケノコの出る季節によくとれることからこの名前がつけられた。尾びれの後縁が丸いソイ、メバルの仲間である。眼隔域(左右の目の間隔域)は平坦(へいたん)で幅広く、眼上隆起は低い。頭蓋(とうがい)骨の各棘(きょく)は上方へ突出しない。眼前骨の下縁に棘(とげ)がない。鰓耙(さいは)は短くて、棍棒(こんぼう)状で23本以下である。体は灰褐色、黄褐色、黒褐色など変化に富む。4、5条の不規則な暗色横帯がある。目から狭い暗色帯が放射する。多毛類、甲殻類、魚類などを食べる。産卵期は11月から翌年2月で、全長7ミリメートル前後の7~8万尾の仔魚(しぎょ)を産む。成魚は全長38センチメートルぐらいになる。沿岸の岩礁域や防波堤にすみ、釣り、刺網(さしあみ)などで漁獲され、刺身、塩焼き、煮つけなどにする。
[尼岡邦夫]