改訂新版 世界大百科事典 の解説
タビストック人間関係研究所 (タビストックにんげんかんけいけんきゅうじょ)
Tavistock Institute of Human Relations
第2次大戦後の1947年にアメリカの人間関係論の影響を受けて,ロンドンに設立された民間のコンサルティング会社。L.vonベルタランフィの一般システム論を社会科学に本格的に導入し,企業の行動科学的調査を行うことによって世界的に有名になった。とくにトリストE.L.TristやエメリーF.E.Emeryらの研究者(タビストック学派)を中心に展開された社会-技術システム論は,学界や実務に携わる人々に多大な影響を与えた。社会-技術システム論は,(1)組織は環境との交換関係をもつオープン・システムであり,(2)組織は技術システムと社会システムから構成され,(3)組織の成果は技術システムと社会システムの相互作用で決定される,と考えるものであった。このような考え方は,作業集団レベルに最も適したものであったため,ヨーロッパにおける〈労働の人間化〉に理論的基礎を与えるものとなった。
執筆者:野中 郁次郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報