最新 地学事典 「ダクティリティ」の解説
ダクティリティ
ductility
岩石が応力下で破壊することなく連続的に変形しうる能力。延性(度)とも。数量的には,ふつう破壊時の歪み(%)で表す。ダクティリティの大きな岩石では破壊点は明確でないが,降伏点や最大強度を示す点の近くで微細な割れ目やダクティルフォールトの発生することが知られているので,これらの点の歪みをもってダクティリティを定義する。ダクティリティは,同一の岩石については温度の上昇,封圧の増加とともに増大する。造構運動の場合のような低速変形の効果はまだよくわかっていないが,おそらく歪み速度がきわめて小さくなるとダクティリティは大きくなるものと推測される。ダクティリティの定義から明らかなように,異なる岩石が異なる温度・圧力・歪み速度の条件下に置かれたとしても,両者のダクティリティが等しければ同じような破壊様式が現れることになる。D.Griggs et al.(1960)や星野一男(1966)によれば,岩石の破壊様式はダクティリティの増大につれて,伸張性の破壊,一面性の明瞭な剪断破壊,多数の共役剪断面の出現などの段階を経て,ついにダクティルフォールトを含む流動が始まる。褶曲機構もまた,ダクティリティの小さいうちは地層どうしの境界面でのすべりを主とするが,ダクティリティが大きくなるにつれて,まず層内での流動が始まり,次いで地層境界面にとらわれない全面的な流動が起こる。脆性はダクティリティの対語で,岩石が流動的変形を行うことなく破壊される(脆性破壊)性質のことで,brittleとも形容される。ダクティリティの小ささで表現される。
執筆者:植村 武
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

