もろさともいう.材料の破壊時に吸収されるエネルギーの小さい材料が,もろい脆性材料である.脆性は衝撃曲げ試験の吸収エネルギー,曲げ試験のたわみ量,引張試験の伸び,しぼりによって比較されている.しかし,これらは参考値で,必ずしも概念的な脆性に一致しない.破壊靭性値(fracture toughness)は脆性の表現として理論的基礎もあり適当である.脆性材料では,まず弾性的に変形した後,破壊が瞬間的に起こる.材料のなかには,ガラス,セラミックス,鋳鉄,刃物鋼のようにどんな温度や静かな負荷でも脆性破壊するものがあるが,このような材料は強度を必要とする部分には使用しないか,またはもろいことを前提として引張荷重や曲げ荷重のかからないような使い方をする.鉄鋼のように強度を要求される材料で,しかも元来延性材料であるものが,低温や環境によって脆性破壊をすることが問題となる.同様のことはプラスチックなどでも生じる.衝撃を受けると意外な高温でも生じる.金属材料における脆性はいずれも構造,組成,組織や欠陥に敏感である.鉄鋼の脆性は,へき開面({100}型の結晶面)で生じる.脆性は体心立方構造と六方最密構造の金属および合金に生じ,面心立方構造の場合には起こらない.水素脆性は工業上とくに重要である.製造時に吸収する水素は真空造塊法などの進歩によってほとんど問題がなくなったが,溶接時に吸収される水素は依然大きな問題である.使用中に環境から電気化学的に吸収した水素によって脆性が生じる現象は,橋梁などの大型構造物に使用する高力ボルトでとくに問題とされ,これを遅れ破壊という.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 図書館情報学用語辞典 第4版図書館情報学用語辞典 第5版について 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
… 延性とは逆に金属材料などの物体がほとんどあるいはまったく塑性変形しないで破壊した場合には〈もろい〉という。この性質に対する言葉として脆性(ぜいせい)brittleness(もろさ)が用いられる。脆性は,前述のような伸び率,断面収縮率だけでは不十分なので,衝撃試験により他の材料と比較測定される。…
…いくつかの段階の硬化過程を経て,最後には破壊が起きるが,このように所要の形に変形をさせた後,その形がそのまま残るのは実用上非常に重要な性質であり,この固体の塑性を利用した加工法を塑性加工という。なお,塑性に対し,外力を加えたとき永久変形をあまり生じないうちに破壊してしまうような性質は,脆性(ぜいせい),またはもろさと呼ばれる。
[塑性変形の機構]
微視的に見ると,塑性変形は決して一様には起きない。…
※「脆性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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