日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダシンスキ」の意味・わかりやすい解説
ダシンスキ
だしんすき
Ignacy Daszyński
(1866―1936)
ポーランドの政治家。1892年オーストリア領ポーランドでガリツィア社会民主党の設立に協力し、指導者の一人となり、第二インターでも活動した。1897~1918年にはオーストリア帝国議会の代議士を務めた。第一次世界大戦中は、国民最高委員会(親オーストリア派の独立グループ)の副議長として独立運動を指導し、J・ピウスツキに協力、戦後ルブリン臨時政府首相に就任した。ポーランド独立後は、副首相(1920~21)などの要職につき、またポーランド社会党の最高評議会議長を務めた。とくに22年ナルトビチ大統領暗殺後の政界の混乱期には、ピウスツキ派のクーデターを未然に防ぎ、事態を収拾するうえで大きな役割を果たした。26年のピウスツキのクーデター後は、ピウスツキ体制に反対し、下院議長として、議会制民主主義の侵害を阻止するために努力した。
[安部一郎]