日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダッケの反乱」の意味・わかりやすい解説
ダッケの反乱
だっけのはんらん
1542~43年、スウェーデンに生じた農民反乱。グスタフ1世の治下、農村に対する収奪の強化と教会財産没収を原因とする農民の騒擾(そうじょう)が各地で発生したが、その最後で最大のもの。首謀者ダッケNils Dacke(?―1543)は、スモーランドの富農であり、1530年代から官吏との衝突事件をたびたび起こしていたが、1542年6月多数の農民を率いてスモーランド各地の城塞(じょうさい)と官吏を襲撃し始め、7月、3000の反乱軍とともにベクシェーを占領。9月には東イョートランドに侵入し国王軍を撃破、官吏の横暴、新規課税、教会破壊に対する反対を含む17か条の抗議文を発表した。11月、国王軍といったん休戦したときには、農民軍は南部スウェーデンを実質的に支配していた。翌年2月、デンマークからの援軍と傭兵(ようへい)によって増強された国王軍が反撃を開始すると、農民軍は押され始め、3月には決定的な敗北を喫して崩壊した。反乱後の農民に対する国王側の措置は過酷を極め、ダッケは森林に潜伏していたが、7~8月ごろ包囲され、戦死した。
[本間晴樹]