日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダヒ」の意味・わかりやすい解説
ダヒ
だひ
dahi
インド古来の発酵乳で、経典には紀元前2000年ころからの記録がある。牛乳、水牛乳を原料とし、素焼の容器で乳酸発酵させる。素焼の容器は多孔質のため、常用していると乳酸菌が定着し、表面に浸出した水分が蒸発して気化熱を奪うため、亜熱帯地方でも発酵温度を適温に保つ利点がある。水牛乳を使用したものは脂肪分が5~8%と高く、ダヒを攪拌(かくはん)すると乳脂肪(ギー)とバターミルク(ラッシー)の部分に分かれる。ギーは保存性の高いバターオイルで、食用のほか灯明ともなり、ラッシーはインド人のもっとも手近な栄養源になっている。ダヒは野菜、果物と混ぜたり、カレーなど各種の料理に使われるほか、肉類の漬け込み用など、広くインド人の食生活に欠かせない食品である。
[新沼杏二・和仁皓明]