翻訳|ghee
インドで古くから作られている乳脂肪製品。一般にはスイギュウの乳から作られるが,牛乳またはヤギ乳を原料とすることもある。新鮮な乳を約1時間煮沸したのち,冷暗所に放置して凝固させる。このときにすでに酸凝固している別の乳を加えて凝固を促進させることもある。凝固物を集めて,約30分間かくはんすることによりチャーニングを行う。チャーニングの終わるころに水を加えてさらにかくはんを続けるとバターができる。バターをすくいとり,加熱溶解してろ過すると透明なバターオイルが得られる。これがギーであって,脂肪分99.6%以上を含む。原始的な方法で作られたバターオイルということができる。ギーはインドのような気温の高いところでも保存性がよいので重要な食用油となっていて,調理や製菓に用いられる。エジプトにも同じような製品があり,サマsammaと呼ばれている。
執筆者:吉野 梅夫
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インドで常用されている精製バター。英語のバターオイルにあたる。サンスクリット語ではグリタghritaで、古来食用、薬用に供されてきたほか、いまも灯明や祭壇の供物、火中に投じて炎とする宗教祭儀などに用いられ、古代インドの経典にもよくそれが現れる。とくに宗教的な菜食主義者が食用にできる唯一の動物性脂肪なので、食生活上きわめて重要な地位を占め、インドで生産される牛乳(水牛乳を含む)の約40~43%がギーに加工されている。同じ形の保存性のよいバターオイルが、高温の西南アジアからモンゴルに至る内陸一帯に存在し、その製法はヒツジ、ヤギ、ウシ、スイギュウ、ヤクなどの発酵乳の粗製バターをとろ火で溶解し、水分と微量のタンパク質を除去して、透明なバターオイルの部分をすくい取る。またモンゴルのシャルトスのように、生乳を煮て静置した後に浮上する脂肪の層をすくい上げ、それを加熱して同じように取る製法もある。なお、中国唐代の乳製品の「醍醐(だいご)」が、それにあたることもほぼ定説化しつつある。
[新沼杏二・和仁皓明]
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…用途は乳用と肉用で,改良の進んだミュラー種murrah,ニリ・ラビ種Nilli‐Raviでは年間4000kgも泌乳するものがあるが,ふつうは2000~3000kgで,乳脂肪率は7.6%くらい。ギーgheeという調味用バターを製造する。【正田 陽一】
[家畜化の歴史]
野生スイギュウの中で,家畜化されたものはアジアスイギュウである。…
…用途は乳用と肉用で,改良の進んだミュラー種murrah,ニリ・ラビ種Nilli‐Raviでは年間4000kgも泌乳するものがあるが,ふつうは2000~3000kgで,乳脂肪率は7.6%くらい。ギーgheeという調味用バターを製造する。【正田 陽一】
[家畜化の歴史]
野生スイギュウの中で,家畜化されたものはアジアスイギュウである。…
…
[成分]
乳脂肪分は加塩バターでは80.0%以上,無塩バターでは82.0%以上で,水分17.0%以下と定められている。この脂肪は消化吸収がよく,すぐれたエネルギー源である。またビタミンAのよい給源でもある。…
※「ギー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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