攪拌(読み)カクハン(その他表記)agitation

翻訳|agitation

デジタル大辞泉 「攪拌」の意味・読み・例文・類語

かく‐はん【××拌】

[名](スル)《「こうはん(攪拌)」の慣用読み》かき回すこと。かきまぜること。「卵白攪拌する」「攪拌機」
[類語]混ぜる混ぜ合わせる取り混ぜるき混ぜる掻き回すき混ぜるい交ぜる混ずるまぜこぜブレンドミックス

こう‐はん〔カウ‐〕【××拌】

[名](スル)かくはん(攪拌)

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精選版 日本国語大辞典 「攪拌」の意味・読み・例文・類語

かく‐はん【攪拌】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「こうはん(攪拌)」の慣用読み ) かきまぜること。かきまわすこと。
    1. [初出の実例]「半炭酸曹達三分に生石灰一分を攪拌し水を加て」(出典:舎密開宗(1837‐47)内)

攪拌の語誌

「攪」は元来、コウ、キョウという音であり、カクは旁(つくり)から類推して生じた慣用音。蘭学資料では対象は薬品であったが、次第に使用範囲は広まり、現在では一般にも使用される。


こう‐はんカウ‥【攪拌】

  1. 〘 名詞 〙 かきまわすこと。かきまぜること。かくはん。〔英和和英地学字彙(1914)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「攪拌」の意味・わかりやすい解説

攪拌 (かくはん)
agitation

流体粉末ないしは粒状の固体原料をかき混ぜることで,工学的にはかくはん操作またはかくはん混合操作として単位操作の一つに分類されている。狭義には,流体あるいはあまり多量でない粉粒体を含む流体で比較的粘稠でない原料を対象とする場合をかくはん,これに対して濃厚高分子溶液やグリースから粘土等に至るまでの非常に粘稠な原料を扱う場合を捏和ねつか)または捏和混練,一方,固体の粉粒体原料を主とする場合を固体混合または単に混合と称して区別する。ただし,その区別は慣習的なもので明確なものではない。以下,狭義のかくはんについて述べる。

 かくはん装置は,かくはん翼をかくはん槽の中に入れて回転させる方式のものが最も一般的で,家庭用の洗濯機やミキサーにもみられるとおりである(図a)。図b-dに工業用かくはん翼の基本型の例を示す。実用のかくはん翼およびかくはん槽の形,かくはん方式は多種多様で,槽底からガスを吹き込んで液を対流循環させる方式,またポンプで槽内液を出入循環させる方式等も用いられる。

 かくはん操作の目的は非常に広範囲にわたるが,大きく次の五つに分けられる。(1)均質化 流体内温度や溶解成分濃度を一様に均質化する。(2)分散微細化 溶解しがたい固体粉末や気体液体成分を微細化して液中に均質に分散させる。たとえば,重油中への石炭粉末の混合,マヨネーズやドレッシングの調製など。(3)凝集粗大化 (2)と逆に液中の懸濁浮遊物を分離する目的で凝集剤を添加混合して凝集させる。(4)物質移動 特定物質成分の溶解,抽出,吸収等物質の移動を促進する。たとえば,固体粒子や粉末あるいはその中に含まれる有用成分等の溶解,廃油の酸および水洗い,発酵槽中の培養液への気泡の吹込み分散による微生物への酸素供給等にみられる。(5)熱移動 槽内液を外部から加熱あるいは冷却する場合に熱移動を促進する。(1)(4)(5)は反応の促進あるいは制御を目的として行われることも多い。

 かくはん作用としては,槽内の液に大きな流動速度あるいは相対変位を生じさせること,液内部に強い剪断力,圧力変動等による圧壊作用,あるいは局所的な相対速度を生じさせること等が考えられる。前者は槽内全体の混合,伝熱の促進,固体粒子等の流動浮遊化,すなわち目的(1)(5)および(2)(4)の一部に強く寄与する。後者は液滴気泡の微細化,局所的な混合の促進を通じて,目的(2)(4)に有効に寄与する。(3)の目的に対しては,凝集粗大化した粒子を破壊しないように,後者の作用の弱い状態でのかくはんが望ましい。

 かくはん作用の強さの目安としては,前者に対してはかくはん翼先端速度あるいは回転速度(毎秒回転数)が,後者に対してはかくはん液単位容積当りのかくはん所要動力の大きさがよく用いられ,実験室規模の小型装置で得られた試験結果から大型の装置の性能を予測する場合(スケールアップの問題)にも有用な基準とされる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「攪拌」の意味・わかりやすい解説

攪拌
かくはん
agitation

かきまぜること。昔から料理などでよく行なった簡単な作業であるが,最近は化学工学の進歩とともに,単位操作として重要な意味をもってきた。目的は,溶解・浸出・化学反応の促進,温度・濃度の均一化,互いに不溶のものの混合乳化 (エマルジョン化) ,沈殿物の凝固防止,あるいは曝気 (ばっき) など,非常に多様で,攪拌機 agitatorの型式や装置の大小も種類が多く,処理材料によって選択する。小型ではプロペラや羽根の回転によるものが多いが,鉱業・製錬・下水処理などの大型では,長い攪拌腕に羽根型のかき歯をつけたものが多い。また機械的攪拌だけでなく,圧縮空気や高圧水蒸気を吹込む場合や,機械攪拌と空気攪拌を併用することもある。下水処理ではこれにより好気性菌による浄化の目的を達する。粉状固形物の攪拌では,同時に微粉化を目的とすることが多く,擂潰機 (らいかいき) のような形式の大型のものがよく使われる。

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百科事典マイペディア 「攪拌」の意味・わかりやすい解説

攪拌【かくはん】

気体と液体,液体と液体,液体と固体などを物理的に混ぜ合わせる操作。非混合性液体を用いた物質抽出,乳化,液体による気泡の洗浄,異相間の反応促進,熱伝達の促進などに利用される。混合される流体の粘度の高い場合を捏和(ねっか)混練,固体粉粒体の場合を固体混合と称して区別するが習慣的なもので厳密ではない。→攪拌装置

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普及版 字通 「攪拌」の読み・字形・画数・意味

【攪拌】かくはん

かきまわす。

字通「攪」の項目を見る

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