日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダルデンヌ」の意味・わかりやすい解説
ダルデンヌ(兄弟)
だるでんぬ
ベルギー出身で、ヨーロッパを代表する兄弟の映画監督。社会の底辺に生きる人々の日常を細部の描写で見せ、ドキュメンタリータッチでとらえる作風に定評がある。兄のジャン・ピエールJean-Pierre Dardenneは1951年、弟のリュックLuc Dardenneは1954年に、リエージュに生まれ、1970年代後半からドキュメンタリーをつくり始める。1986年に初長編劇映画『ファルシュ』を監督し、ベルリンやカンヌの国際映画祭に出品される。1996年の『イゴールの約束』がカンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞をとったほか、各地で話題になった。1999年の『ロゼッタ』はカンヌ国際映画祭でパルム・ドールと主演女優賞を受賞し、名実ともに巨匠の仲間入りをした。『息子のまなざし』は2002年のカンヌ国際映画祭で主演男優賞、『ある子供』は2005年にふたたびカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞した。『ロルナの祈り』(2008)はカンヌ国際映画祭で最優秀脚本賞、日本で聞いた話に題材をとったという『少年と自転車』(2011)は、同じくカンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリを受賞している。
[古賀 太]