カンヌ(読み)かんぬ(英語表記)Cannes

翻訳|Cannes

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カンヌ」の意味・わかりやすい解説

カンヌ
かんぬ
Cannes

フランス南東部、アルプ・マリティーム県の都市。ニース南西に位置し、地中海岸コート・ダジュールに面し、ナプール湾に臨む観光保養都市。カンともいう。人口6万7304(1999)。1834年、イギリス人貴族ブルーム卿(きょう)Lord Broughamが、温暖な気候と位置に魅せられて別荘を建てて以来発展した。広い並木道、多くのホテル、別荘、カジノ、スポーツ施設があり、避寒地、海水浴場として有名になり、「世界中の貴族の冬のサロン」といわれている。油脂香水の製造が行われるほか、造船業、織物工業もある。周辺では野菜や花卉(かき)の集約的栽培が行われている。西部のモン・シュバリエ(騎士の山)の旧城跡にはカストル博物館があり、沖合いには鉄仮面が幽閉されたサント・マルグリット島などが浮かぶ。毎年、国際映画祭が開かれることで有名であり、花合戦、ミモザ祭、国際レガッタ競技などが行われ、多くの観光客を集めている。

[青木伸好]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カンヌ」の意味・わかりやすい解説

カンヌ
Cannes

フランス南東部,プロバンス地方,アルプマリティム県の地中海岸に位置する国際的観光都市。いわゆるコートダジュール東部にあり,ニースとともに世界的に有名な保養・避暑・避寒地となっている。特に 1946年に創設された国際映画祭は世界規模の行事。ニースに行こうとしたイギリスの政治家 H.ブルームが,コレラ流行のため目的を果さず,当時は貧しい漁村にすぎなかったカンヌに偶然泊り (1834) ,気に入って別荘を建てたのが繁栄のきっかけになったとされる。海辺沿いの,シュロの木と花壇に飾られた遊歩道クロアゼットは有名で,周辺には豪華なホテル,カジノなどが並び,ヨットハーバーも整備されている。後背地では花卉栽培が盛んで,港に沿う景色のよい並木道に毎朝花市が立ち,特にミモザの花市は国際的に有名。古い町は港の西側にそびえる丘の上にあり,頂上にはノートルダム・ド・レスペランス聖堂 (16~17世紀) がある。人口6万 9363 (1990) 。

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