知恵蔵 「だいち2号」の解説
だいち2号
だいち2号は14年5月24日に種子島宇宙センターからH-IIAロケット24号機で打ち上げられた。重量は先発の大型衛星「だいち」の半分、費用も開発や打ち上げなどを含めて約374億円と大きく削減された。赤道上での高度は628キロメートルで、太陽同期準回帰軌道(14日回帰)を周回する。搭載されたLバンド合成開口レーダーは、波長が長く雲・雨・枝葉などを通過して、地表面や物体を観測できる。これは「だいち」搭載のものより大幅に改良されており、1回の観測幅は最大490キロメートルに向上した。選択できる観測可能なエリアは「だいち」では右側のみ870キロメートル範囲だったものが、だいち2号では左右観測機能を有し、合計2320キロメートルの範囲の中から観測エリアを迅速に選択できる。新たに採用したスポットライトモードでは観測幅は狭まるが、分解能が飛躍的に向上し、長さ1メートル幅3メートルの物体まで確認が可能だ。平常時は火山の監視、森林や氷河などを観測し、暮らしの安全を確保する。災害発生時には、津波の浸水域や道路の崩壊などを早期に把握し、救援や復旧の迅速化に役立てる。技術実証ミッションとして小型赤外カメラ(CIRC)や船舶自動識別信号受信器(SPAISE2)も搭載している。地球規模の環境問題の解決、資源探査や水稲作付面積の把握など、社会・経済への貢献をはかるという。打ち上げ後、定常モードに移行してから初期機能の検証や校正を経て、打ち上げ6カ月後には校正済みデータの提供開始を予定している。
(金谷俊秀 ライター / 2014年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報