若田光一(読み)わかたこういち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「若田光一」の意味・わかりやすい解説

若田光一
わかたこういち
(1963― )

宇宙航空研究開発機構(JAXA(ジャクサ))所属の宇宙飛行士。埼玉県大宮市(現、さいたま市)生まれ。1987年(昭和62)九州大学工学部航空工学科卒業、1989年(平成1)3月同大学大学院工学研究科応用力学専攻修士課程修了。同年4月、日本航空株式会社に入社。1992年4月、宇宙開発事業団(NASDA(ナスダ)。現、JAXA)によりミッションスペシャリスト搭乗運用技術者、MS)候補者に選ばれ、6月NASDAに入社。渡米し、NASA(ナサ)(アメリカ航空宇宙局)のMS訓練コースに参加。1993年同コースを修了し、NASAおよびNASDAからMSに認定された。1996年1月、スペースシャトルエンデバー号」に日本人初のMSとして搭乗。ロボットアームの操作を担当し、日本の宇宙実験観測フリーフライヤの回収やNASAの小型衛星放出と回収、船外活動の支援などを行った。また、2000年(平成12)10月には再度MSとして「ディスカバリー号」に搭乗。日本人宇宙飛行士として初めて国際宇宙ステーションISS)の組立てに参加し、ロボットアーム操作によるISSの構成要素(Z-1トラスと与圧結合アダプタPMA-3)の取り付けや船外活動の支援などを担当した。同年12月、NASAロボティックス教官宇宙飛行士として認定。2004年、九州大学大学院宇宙工学専攻博士課程を修了し、工学博士。2006年12月にはロシアでのソユーズ宇宙船フライトエンジニア訓練終了。2008年、NASA船外活動教官宇宙飛行士として認定された。2009年3月、日本人宇宙飛行士として初めてISS長期滞在ミッションを実施。同年7月、船外実験プラットフォームを取り付けて日本実験棟「きぼう」を完成させて帰還した(宇宙滞在期間は約4か月)。2010年3月NASA宇宙飛行士室ISS運用部門チーフ、同年4月JAXA宇宙飛行士グループ長にそれぞれ就任。2013年11月~2014年5月、長期滞在クルーとしてISSに約188日間滞在し、この間2014年3月にISS船長コマンダー)に就任した。2015年、NASAより、地上から軌道上の宇宙飛行士との交信を担当するキャプコム(CAPCOM:Capsule Communicator)の教官宇宙飛行士として認定された。同年1月~9月、NASA宇宙飛行士室におけるISS宇宙機担当リード・キャプコム(日本人初)に就任し、同年9月~2016年3月、NASA宇宙飛行士ペイロード部門主任を担当した。2016年4月、JAXA国際宇宙ステーションプログラムマネージャとJAXA有人宇宙技術センター長に就任。2018年4月、JAXA理事(有人宇宙技術部門、宇宙探査イノベーションハブ、国際宇宙探査担当)および宇宙飛行士を兼務。2020年(令和2)4月、JAXA特別参与に就任。2022年打上げ予定のISS長期滞在ミッションに搭乗することが決まっている。

[山本将史 2022年7月21日]

『若田光一・高橋うらら著『宇宙への夢、力いっぱい!』(2014・PHP研究所)』『小原健右・大鐘良一著『若田光一日本人のリーダーシップ――ドキュメント宇宙飛行士選抜試験2』(光文社新書)』

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知恵蔵mini 「若田光一」の解説

若田光一

1963年8月1日生まれ、埼玉県出身。日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)に所属する宇宙飛行士で工学博士。九州大大学院で航空工学を学び、日本航空にエンジニアとして入社。92年4月、ミッションスペシャリスト候補に選出され、宇宙開発事業団(旧・NASDA)の職員となった。93年、ミッション・スペシャリストの資格を取得し、96年、スペースシャトル・エンデバー号によるミッションに日本人初のMSとして参加。2000年、2度目の宇宙飛行を行い、国際宇宙ステーション(ISS)建設に従事し、09年には3度目の宇宙飛行でISSに4カ月半の長期滞在をした。10年、NASAのISS運用部門の部門長に就任。日本人がNASAの管理職に就くのは初めて。13年8月、モスクワのガガーリン宇宙飛行士訓練センターで行われた出発前最後の訓練を公開した。同氏が搭乗するロシアの宇宙船「ソユーズ」は、13年11月にカザフスタンの宇宙基地から打ち上げられる予定で、ISSに約半年間滞在し、最後の2カ月間は日本人初の船長を務める。

(2013-8-14)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「若田光一」の解説

若田光一 わかた-こういち

1963- 平成時代の宇宙飛行士。
昭和38年8月1日生まれ。日本航空勤務をへて,平成4年宇宙飛行士にえらばれ,宇宙開発事業団職員となる。5年ミッションスペシャリスト(MS)資格を取得。8年スペースシャトル「エンデバー」に搭乗,ロボットアームによる衛星の回収などをおこなった。12年「ディスカバリー」で2度目の宇宙飛行をおこない,国際宇宙ステーション(ISS)建設に従事。21年3度目の宇宙飛行で4カ月半の長期滞在をして科学・医学実験をおこなった。22年ISS運用部門の部門長に就任。25年11月ISSの第38次と第39次長期滞在搭乗員として4度目の宇宙にとびたち,26年3月9日より第39次の司令官の任に就いた。同年菊池寛賞。埼玉県出身。九大卒。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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