チンボラソ山(英語表記)Chimborazo

改訂新版 世界大百科事典 「チンボラソ山」の意味・わかりやすい解説

チンボラソ[山]
Chimborazo

エクアドル中部のアンデス山脈中の休火山。南緯1°28′,西経78°48′,標高6310m。エクアドルの最高峰。長い間アンデスの最高峰と信じられていた。山頂部は氷河に覆われている。雪線高度は約4800m。1802年A.フンボルトによって科学的調査と登山が試みられた。80年にはイギリスのE.ウィンパーが山頂に達している。エクアドルの首都キトからも遠望でき,同国の象徴的存在となっている。また太平洋岸からも見えるといわれている。12月から4月が雨季であるが,赤道帯にあるため,気温の年較差は小さい。しかし高度による気温の差は明瞭に現れ,植生や土地利用に反映されている。火山体の山麓部はイチュなどが生える高原で,羊などの放牧に利用されているが,人口密度は低い。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のチンボラソ山の言及

【アンデス[山脈]】より

…【野上 道男】
[登山史]
 アンデスの登山史は17世紀にスペイン人がペルーのミスティに登山したのが最初といわれるが,1736‐44年にかけてフランスのブージェ,ラ・コンタミーヌらがエクアドルの火山帯に科学調査を行ったことに始まるといってよかろう。当時はヒマラヤの高峰が知られていなかったので,この隊はエクアドルのチンボラソ山を世界最高峰と結論し,ヒマラヤや南アンデスの正確な高度が知られるまで,しばらくはこれが世界の通説となっていた。そのため,この山の登山が多く試みられ,ドイツの地理学者A.フンボルトやフランスの農芸化学者ブザンゴーなども登頂を試みたが果たさず,1880年イギリスの登山家E.ウィンパーが初登頂した。…

※「チンボラソ山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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