日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツマジロオコゼ」の意味・わかりやすい解説
ツマジロオコゼ
つまじろおこぜ / 端白虎魚
cockatoo waspfish
combsail velvetfish
[学] Ablabys taenianotus
硬骨魚綱スズキ目ハオコゼ科に属する海水魚。伊豆大島、紀伊半島以南の太平洋岸、南西諸島、台湾など、西太平洋、インド洋に広く分布する。体は細長くて強く側扁(そくへん)し、背びれの前部は著しく高く、背びれ棘(きょく)は多くて、17本あるのが著しい特徴。背びれは目の前縁直上から始まり、第1棘は著しく短い。第2、第3棘がもっとも長い。体は小さい鱗(うろこ)で覆われる。体と各ひれは暗褐色で、頭部の前縁と各ひれの縁辺は白い。水深80メートル以浅の岩礁域の海藻の間やサンゴ礁域にすみ、波の動きで体を前後に揺らし、海藻に擬態する。底生動物を食べる。雄は縄張りをもち単独生活をする。産卵日の日没後に、雌が雄の縄張りに入る。雄は雌をひれでなでる求愛行動をし、雄と雌は表層に向かって泳ぎ出し、腹を上にして産卵、放精する。全長10センチメートルあまりにしかならない。姿が面白いので水族館で人気がある。
[尼岡邦夫]