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求愛行動 きゅうあいこうどうcourtship behavior

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

求愛行動
きゅうあいこうどう
courtship behavior

求婚行動ともいう。動物行動学で,つがい形成時にみられる雌雄間の儀式化された一連の行動をさし,その場合,異性の特徴が信号として用いられることが多い。おもに繁殖期にみられるが,求愛行動が引続いて交尾にいたる場合と,交尾はあとになって起る場合がある。後者の場合は,求愛行動は繁殖期に限らない。また,形成されたつがい関係を維持する働きをもつ行動も求愛行動と呼ばれる。動物行動学の立場からの研究が多い。

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デジタル大辞泉の解説

きゅうあい‐こうどう〔キウアイカウドウ〕【求愛行動】

生物に見られる異性を引き付けるための行動。種固有の儀式化された行動により、種間交雑を避け、つがい関係を維持する役割があると考えられている。種固有の身振りや鳴き声のほか、異性を引き付ける匂い物質の放出や光の明滅鳥類求愛給餌などが知られる。求婚行動

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

求愛行動
きゅうあいこうどう

異性を引き付け、交尾に導くために雌雄の間で交わされるさまざまな行動をいう。交尾後もつがいを維持するものでは、つがいの絆(きずな)維持のためにとられる行動も含む。多くの場合、誇張され儀式化された種に特有の求愛誇示行動がとられている。求愛行動のもつ生物学的役割は、雌雄が出会いやすくすること、両者が同種の異性であることを認知し、種間交雑を回避すること、雌雄の攻撃気分と逃避気分を克服すること、交尾後もつがい関係を維持することにより子の生存率を高めることである。
 バッタやキリギリスなどの昆虫類や鳥類の雄は、鳴き声などの音声により雌を引き付ける。また、ガなどの昆虫類では、雌が芳香性のある物質を出すことにより、ホタルの雌雄は発光により、それぞれ異性を引き付ける。クジャクやゴクラクチョウの雄は、目だつ色彩やはでな行動により自己を目だちやすくする。さらに、ニワシドリの仲間には、求愛する場所を掃除し、草で籠(かご)状の部屋をもった塚をつくり、木の実、花、きれいな小石などで飾り付けることにより雌を引き付けるものがある。異性を引き付けるこれらの行動は一般に単独で行うが、ソウゲンライチョウのように多数の雄が集まって集団で行うこともある。これらの行動は、近縁種の間でも違いがあり、それが種間交雑を避けるのに役だっている。
 異性を近くに呼び寄せても、体を接触させ交尾するためには、さらに互いの恐怖心や攻撃性を克服することが必要である。多くの動物では、攻撃性を引き起こすような信号や武器を隠し、相手の気持ちを和ませる。ユリカモメは、攻撃性を解発する頭の黒いマスクを隠す動作をする。ワタリガラスは目をそらし、相手の気持ちを和らげる。タンチョウやフウチョウ類の雄は雌の前で踊る。
 雄が雌に食物を提供する求愛給餌(きゅうじ)や巣の材料を差し出す行動も鳥類では広く認められる。多くの場合、求愛行動には、性的な要素に加えて攻撃行動と逃避行動の要素が含まれている。淡水魚のトゲウオの雄のジグザグ踊りは、雌に対する攻撃と巣への誘導動作とが入り混じったものである。
 鳥類のなかには、つがいの絆を保つために互いに呼び交わすリズミカルな鳴き声を発達させているものがある。また、交尾後も求愛給餌が行われているものも多く、ハイイロガンのつがいにみられる「勝利の儀式」とよばれる行動は、第三者に見せかけの攻撃をすることにより、つがいの絆を強める行動と考えられる。[中村浩志]

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世界大百科事典内の求愛行動の言及

【行動】より

…ほとんどの動物は,年周期的に配偶行動が発現するが,年1回の場合と2回以上の場合がある。 雌雄の出会いから交尾に至るまでの過程をスムースに行わしめるのが求愛行動courtship behaviorである。まず体色の変化(婚姻色),種に固有の発声,発光パターン,フェロモン,あるいは独特の行動によって,雌雄が引き寄せられる。…

※「求愛行動」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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