改訂新版 世界大百科事典 「ティットビッツ」の意味・わかりやすい解説
ティット・ビッツ
Tit-Bits
イギリスの大衆週刊紙。菜食主義者向けレストランの経営で資金をためたニューンズGeorge Newnesが,1881年にマンチェスターで創刊した。16ページ建てで,創刊のタイトル《The Tit-Bits from All the Most Interesting Books,Periodicals and Newspapers of the World(世界のすべての興味深い本や雑誌や新聞からの〈かけら〉)》から知られるように,初期にはほかの新聞,雑誌から拾い集めたおもしろい記事のダイジェストを載せて多くの読者を獲得し,その後しだいに独自の読物も載せるようになった。3年後にロンドンに移転し,同時にニューンズは,たとえば鉄道事故にあった読者に100ポンドの保険金を提供したり,金貨の入った壺を隠し,紙上のヒントに従って探しあてた読者にそれを贈呈するなど,それまでにない販売促進法で90万部近く部数をのばし,大量の広告を集めることに成功した。後に《タイムズ》の経営者となるノースクリッフはこの新週刊紙への寄稿者として,その手法の意味を十分に学んだ。マス・ペーパーの時代に先鞭をつけたメディアである。
執筆者:香内 三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報