テトラチオン酸(読み)テトラチオンサンエン

化学辞典 第2版 「テトラチオン酸」の解説

テトラチオン酸(塩)
テトラチオンサンエン
tetrathionic acid(tetrathionate)

酸:H2S4O6(226.28).テトラチオン酸は,IUPAC規則が認める慣用名.IUPAC置換命名法による正式名は,ジスルファンジスルホン酸(disulfanedisulfonic acid).純粋なものは得られていないが,水溶液およびエーテル付加物(H2S4O6・2.4(C2H5)2O(実測))は得られている.水溶液は,Pb塩と硫酸の反応で得られる.エーテル付加物は,ジスルファンモノスルホン酸H2S3O3のエーテル溶液に,低温でSO3とCF2Cl2溶液を反応させると生じる.エーテル付加物は,-60 ℃ で凝固し,室温でも安定である.60 ℃ で分解してS,SO2を放出する.水に可溶.水溶液はかなり安定で,希薄溶液は煮沸しても分解しない.濃厚溶液は煮沸するとS,SO2,SO42-を生じる.[CAS 13760-29-7].
塩:アルカリ金属,アルカリ土類金属塩は固体が安定に得られる.そのほかの各種の重金属塩なども得られている.水溶性のものが多く,Ba,Ca塩なども水に可溶である.Na2S4O6(270.24)は,Na2S2O3ヨウ素で酸化して定量的に得られる.二水和物は単斜晶系.[O3S1-S2-S3-S4O3]2- のO3S-Sはひずんだ正四面体型.S1-O1.45~1.46 Å,S1-S22.21 Å,S2-S32.02 Å.∠ S1-S2-S3104°.[CAS 10101-86-7:二水和物]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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