改訂新版 世界大百科事典 「テレーズドリジュー」の意味・わかりやすい解説
テレーズ・ド・リジュー
Thérèse de Lisieux
生没年:1873-97
フランスの聖女,カルメル会修道女。本名テレーズ・マルタンThérèse Martin。〈幼きイエズスと聖なる御顔のテレーズThérèse de l'Enfant-Jésus et de la Sainte-Face〉とも呼ばれる。富裕な宝石商の末娘として生まれ,幼時から家族への強い愛着と,内面への沈潜の傾向を示す。1888年2人の姉の後を追ってリジューのカルメル会修道院に入る。外面的にはなんら目だたない祈りと観想の生活を送り,みずから〈小さき道〉と呼んだ,幼子の単純さと,英雄的な犠牲の甘受が一体となった信心に徹する。死後に公表された自叙伝《小さき花》は全世界で大きな感動を呼んだ。1925年列聖。祝日10月3日。
執筆者:稲垣 良典
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報