日本大百科全書(ニッポニカ) 「ディ・ウェルト」の意味・わかりやすい解説
ディ・ウェルト
でぃうぇると
Die Welt
ドイツの高級日刊紙で、『フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥンク』『ジュートドイッチェ・ツァイトゥンク』とともに、ドイツの全国紙の一角を占める。題号の『ディ・ウェルト』とは「世界」の意。日曜日を除く週6日発行(朝刊)。
1946年ハンブルクのイギリス占領軍の手で創刊されたという歴史的経緯もあり、英米型の客観的報道主義を守り、ほかのドイツの新聞よりもニュースと意見の区別をはっきりさせていることが特徴の一つである。1953年にヨーロッパ最大の発行部数を誇る大衆紙『ビルト・ツァイトゥンク』(のち『ビルト』)を発行するアクセル・シュプリンガー社に買い取られ、同社の代表的新聞となり今日に至る。政治的には保守的な論調で知られていたが、1990年代以降は中道的傾向が強まっている。1995年からはインターネットのウェブサイトを開設、また新聞紙面の記事の多くには、関連するウェブサイトのアドレスを記載し、読者がインターネットを通じてより深い情報を得られるよう配慮している。1975年に編集本部がハンブルクから当時の首都ボンに移され、東西ドイツ統一後の1993年5月からはベルリンに移された。また、財政難のため2001年から一部の地域版の発行を停止したり、編集部を『ベルリナー・モルゲンポスト』(アクセル・シュプリンガー社所有)と共有化するなどの措置をとった。2004年から、同紙の内容をタブロイド版に圧縮した『ウェルト・コンパクト』が発行されている。
『ディ・ウェルト』の発行部数は『ウェルト・コンパクト』とあわせて約25万部(2010)。また発行元のアクセル・シュプリンガーは日曜版新聞として『ウェルト・アム・ゾンターク』も発行しているが、同紙編集部は『ディ・ウェルト』から独立している。
[伊藤高史]