ディープ・ブルー(読み)でぃーぷぶるー(その他表記)Deep Blue

翻訳|Deep Blue

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ディープ・ブルー」の意味・わかりやすい解説

ディープ・ブルー
でぃーぷぶるー
Deep Blue

IBMが開発した、チェスの指し手を計算する専用スーパーコンピュータの名称。チェス世界チャンピオンであったカスパロフGarry Kimovich Kasparov(1963― )に勝ったことで注目を集めた。

 ディープ・ブルーとカスパロフは1996年と1997年に、6ゲームマッチで対戦した。ディープ・ブルーは1996年はフィラデルフィアで1勝3敗2分けで敗北したが、1997年5月にニューヨークで開催された再戦では、2勝1敗3分けで勝利した。当時の演算能力としては、1秒間に2億通りの指し手を読む(計算する)ことができたとされている。僅差(きんさ)の勝利に対して、カスパロフからも一般の人々からも再戦を望む声があがったが、IBMはディープ・ブルーの開発プロジェクトを打ち切った。その後、スーパーコンピュータ開発プロジェクトはブルー・ジーンBlue Geneという超並列コンピューティング開発プロジェクトに引き継がれた。ディープ・ブルー本体の一部は、ワシントンDCのスミソニアン博物館アメリカ歴史技術博物館に展示されている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のディープ・ブルーの言及

【コンピューターゲーム】より

…当初は人間の強いプレーヤーの真似を試みていたが,なかなか強くならず,すべての可能な手をしらみつぶしで深く読むという力任せの方法が取られるようになった。1997年,IBM社製のコンピューター〈ディープブルー〉が人間の世界チャンピオンに勝ったが,パソコンソフトのコンピューターチェスでも勝てる人間はほとんどいない。人工知能の例題としてのチェスの役割は終わりつつある。…

※「ディープ・ブルー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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