日本大百科全書(ニッポニカ) 「IBM互換機」の意味・わかりやすい解説
IBM互換機
あいびーえむごかんき
アメリカのIBM社製のコンピュータと同等の仕様をもつ他社製のコンピュータのこと。かつては大型機についていわれたが、現在ではパーソナルコンピュータ(パソコン)についていわれることが多い。IBMはApple Ⅱなどによるパソコン市場の拡大に刺激され、1981年に一般ユーザ向けのパソコンとしては同社では最初のIBM PCを発売したが、周辺機器や応用ソフトウェアの開発を他社(サードパーティとよばれる)にも任せる方針をとり、ハードウェアとオペレーティングシステムの仕様の大半を公開した。その結果、IBM社以外からIBM PCと同等の仕様をもつパソコンの開発、発売を促すことになり、IBM社製のパソコン用に開発されたプログラム、とくにマイクロソフト社のMS-DOS、そしてその上で動く各種の応用ソフトウェア、さらに各種の周辺機器をそのまま利用できる(すなわち「互換」)パソコンが多数出現することになった。各社間での競争が激しいため、低価格化が急速に進み、また市場のシェアも急速に拡大した。アメリカでは、本来はパーソナルコンピュータの略称であるPCといえば、IBMのパソコンないしその互換機(AT互換機、ATはAdvanced Technologyの略)のことをいう。現在では、これらの機種にはウィンドウズが前もって搭載されることが多いため、ウィンドウズマシンともよばれ、全世界のパソコン市場の9割以上を占めるに至っている。
[田村浩一郎]