日本大百科全書(ニッポニカ) 「ディーリアス」の意味・わかりやすい解説
ディーリアス
でぃーりあす
Frederick Delius
(1862―1934)
ドイツ系のイギリスの作曲家。ブラッドフォード生まれ。初め父親の意向に従ってアメリカに渡り、フロリダで農園の仕事に従事するが、同地で音楽の基礎訓練を受ける。1886年ヨーロッパに戻り、ライプツィヒ音楽院に学ぶ。このころグリーグに出会い、影響を受けた。88年以来フランスに定住し、ゴーギャン、ムンク、ストリンドベリなどと親しく交わるとともに、作曲活動を開始。晩年は失明し、パリ近郊のグレ・シュル・ロアンに没。
ディーリアスの音楽は、後期ロマン派と印象派の影響を示しているが、繊細で、温かみのある叙情的な表現や、色彩的なオーケストレーションに独自の境地を切り開いている。代表作に、『コアンガ』(1895~97)、『村のロミオとジュリエット』(1900~01)などのオペラ、イギリス狂詩曲『ブリッグの定期市』(1907)、幻想曲『夏の庭にて』(1908)、『小オーケストラのための二つの小品』(1911~12)、『北国のスケッチ』(1913~14)などのオーケストラ作品、『人生のミサ』(1904~05)、レクイエム(1914~16)などの合唱曲がある。
[寺田兼文]