日本大百科全書(ニッポニカ) 「デザミ」の意味・わかりやすい解説
デザミ
でざみ
Théodore Dézamy
(1808―1850)
フランスの社会運動家、共産主義者。バンデーで教師を勤めたのち、パリに上り、ブランキ派の秘密結社「季節協会(季節社)」に加わる。1839年同派の蜂起(ほうき)失敗後、E・カベーの秘書となり、カベー派機関紙『ポピュレール』の編集に携わる。しかし、彼はカベーの神秘主義的共産主義と合法性への固執になじめず、ネオ・バブーフ派のピヨJean-Jacques Pillot(1808―1877)らとともにコミュニストの非合法組織運動に取り組んだ。主著『協同社会の法典』(1842)にみられる彼のコミュニスムは、モレリ、ドルバックら18世紀唯物論の伝統に立脚すると同時に、フーリエの「魅力的労働」の協同体という発想をも取り入れている。1848年の二月革命にはブランキとともに「中央共和協会」を結成し、3000人の労働者を組織した。六月事件のバリケードにも参加したが敗れ、病と貧困のうちに故郷リュソンで他界した。
[谷川 稔]