カベー(読み)かべー(英語表記)Étienne Cabet

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カベー」の意味・わかりやすい解説

カベー
かべー
Étienne Cabet
(1788―1856)

フランスの初期共産主義者。カベともいう。シャルル10世の治下にカルボナリ党に加入し、1830年7月には革命運動に荷担した。1831年に議会に選出され、当初七月王政を支持していたが、1833年に雑誌『人民』を創刊し、共和主義唱道して政府と対立するようになった。翌1834年、雑誌記事の責任を問われて懲役刑に処せられると、イギリスに亡命した。1839年に帰国し、トマス・モアユートピア思想の影響がみられる理想的共産主義社会を描いた『イカリア旅行記』を著すとともに、雑誌『人民』を再刊して全国的に共産主義運動を広めた。1848年に二月革命勃発(ぼっぱつ)すると、革命運動に挺身(ていしん)した。しかし運動は敗北し、反動化のなかで、同年末にイカリア主義者を募ってアメリカに渡った。テキサスイリノイで彼らの夢想する共産主義社会を建設しようとしたが失敗に終わり、異国失意のうちに没した。

[本池 立]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カベー」の意味・わかりやすい解説

カベー
Cabet, Étienne

[生]1788.1.2. ディジョン
[没]1856.11.8. セントルイス
フランスの空想的社会主義者。 1840年に『イカリアへの旅』 Voyage en Icarieを出版。政府がすべての経済活動や社会活動を統制する共産国家を描いて,共産主義の観念を大いに広めた。アメリカのテキサス,イリノイにモデル町を建設し,理論を実践しようとしたが失敗。

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