改訂新版 世界大百科事典 「デッサウアー」の意味・わかりやすい解説
デッサウアー
Friedrich Dessauer
生没年:1881-1963
ドイツの技術者,生物物理学者,哲学者。X線を用いた深部療法および量子生物学の創始者の一人。大学卒業後,X線装置工業に従事。1921年フランクフルト大学教授となる。24年から33年まで中央党所属国会議員としても活動したが,ナチス政権の登場で国外に逃れ,34年イスタンブール大学,37年フライブルク大学の教授を転々とし,50年フランクフルト大学に復帰した。数多くの著作のうち《技術の哲学》(1926),《科学・技術・宗教》(1951)が邦訳されている。技術を客観的自然法則と実践的生産の目的との合一と考え,自然的脅威の克服のためには科学を含めた技術が有用であると肯定的な評価を下した。また汎神論的見地から科学と宗教の調停を試みた。
執筆者:菊地 重秋
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報