トゥニカ(その他表記)tunica

改訂新版 世界大百科事典 「トゥニカ」の意味・わかりやすい解説

トゥニカ
tunica

古代ローマの男女が着用した羊毛製や亜麻製の下着。家庭内や軍営などでは上着としても着られていた。2枚の布地を肩と脇で縫い合わせたもので,首からかぶり帯を締めた。元来は袖なしで,袖付きのものでも短い半袖が主だが,帝政期には長袖のもの(トゥニカ・マニカタtunica manicata)も現れた。丈は一般男性用は膝まで,軍人用はそれより短く,女性用は足首近くまであった。元老院議員用のものには緋色の太縞が1本,騎士身分用には同色の細縞2本がついていた。帝政期には2枚のトゥニカを重ね着することも多かった。
チュニック
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トゥニカ」の意味・わかりやすい解説

トゥニカ
とぅにか
tunica ラテン語

古代ローマの男女が着用した表着。女性のものは一般にストラstolaとよばれた。男性はこの上にトーガを巻き、女性はパルラを羽織った。もともと古代ギリシア人の着ていたキトンイオニア式キトン)をそのまま受け継いだものであるが、さらに単純化して、T字型に裁断し両脇(わき)を縫い合わせた。身分階級、着る場合によってその着丈は異なり、膝(ひざ)からくるぶしまでさまざまなものがあった。また、一般に白または褐色地であるが、身分に応じてクラビィという赤紫の帯状装飾がつけられた。のちにフランス語に入ってチュニークtunique、英語ではチュニックtunicとなった。

[菅生ふさ代]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のトゥニカの言及

【ストラ】より

…古代ローマ時代の女性用トゥニカ。ギリシアのペプロスやイオニア式キトンに似て,肩をあらわにしたもの,短い袖で肩をおおったものなどがあった。…

【ローマ】より

…オスティアの遺跡が当時のインスラのようすをよく伝えているが,古代ローマには豪壮な宮殿や公共建築物,瀟洒(しようしや)な個人邸宅と並んで,このようなインスラがひしめき合っていたのである。
[衣服]
 古代ローマの男性は膝丈のトゥニカの上にトガを着用したが,トガは重いうえにひだ取りも難しかったため嫌われるようになり,皇帝たちは公式行事の際のトガ着用を命じる勅令を出さざるをえなかったほどで,トガに代わってパリウムpalliumというギリシア風外衣が好まれるようになった。また,袖なし・貫頭衣型の羊毛製外套(パエヌラpaenula)も旅行用・雨天用として好まれた。…

※「トゥニカ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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