普及版 字通 「トク・わるい・わざわい」の読み・字形・画数・意味
15画
[字訓] わるい・わざわい
[字形] 形声
声符は(匿)(とく)。は女巫が秘匿のところで祈り、ひそかに呪詛を行うことをいう。その邪悪な心をという。〔詩、大雅、民労〕「を作(な)さ俾(し)むること無(なか)れ」、〔詩、風、柏舟〕「死に之(いた)るまで矢(ちか)つて(よこしま)靡(な)し」のように用いる。〔左伝、荘二十五年〕「未だ作(おこ)らず」の〔杜預注〕に「は陰氣なり」とあり、悪氛のようなものをいう。〔周礼、夏官、環人〕に「軍」、〔周礼、地官、土訓〕に「地」、〔周礼、地官、誦訓〕に「方」があり、みな妖祥・蠱気(こき)の類。「(ひ)く」「起(じやくき)する」は国語の用法。また(じく)は文字の要素は同じであるが、「愧(は)づ」と訓する別の字である。
[訓義]
1. わるい、かくれた悪事。
2. わざわい、かくれてわざわいする。
3. よこしま、けがれ、悪行、悪人。
[古辞書の訓]
〔字鏡〕 トガ・ノク 〔字鏡集〕 ニクム・トガ・アシ・ヨロシ
[語系]
・・nikは同声。匿(かく)れて呪詛(じゆそ)を行うことをという。忸niukはと字義近く、その字はまた(じく)に作り、〔説文〕十下に「は慙づるなり」と訓している。忸怩(じくじ)の怩nieiもこの系統の語である。
[熟語]
怨▶・姦▶・偽▶・淑▶・人▶・礼▶
[下接語]
引・・隠・怨・王・苛・姦・凶・彊・険・蠱・構・差・讒・淑・除・情・潜・地・変・迷・妖・穢
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報