日本大百科全書(ニッポニカ) 「トゲカワムシ」の意味・わかりやすい解説
トゲカワムシ
とげかわむし / 棘皮虫
袋形(たいけい)動物門動吻虫(どうふんちゅう)綱に属する動物の総称、またはそのなかの1種。キョクヒチュウともよばれる。体は紡錘形で、表面は硬く多くの棘(とげ)を備える。海浜の砂泥帯や水草帯にすみ、現在、2目6科10属に分類される。代表種であるトゲカワムシEchinoderes dujardiniiでは、第2体節が16個の小板からなり、腹面中央がもっとも大きく台形で、他は三角形。胴長328~405マイクロメートル。第3~12体節は短毛を備える。体節の後縁部は、腹面では第5~11、背面では第6~11番目が櫛(くし)状。第13体節は三角形状で、外側に2、3の大棘(だいきょく)を備える。中棘は中央部背面の第6~10節と、側面の第4と第7~12体節にみられる。一般には体節も少ないハブロデレスHabroderesとよばれる幼生期を経て成体となる。近縁には26種も知られ、これまでの日本産種の同定は疑問とされている。
[鈴木 實]