改訂新版 世界大百科事典 「キョクヒチュウ」の意味・わかりやすい解説
キョクヒチュウ (棘皮虫)
Echinoderes dujardinii
キョクヒチュウ科の動吻(どうふん)動物。体表には後方に向かった鋭いとげが多数並んでいるのでこの名がある。本州中部以南に分布し,海岸の砂泥中や海藻の間などにすむ。体長0.4mmまでの円筒形で,13環帯よりなる。口は体の前端中央に開き,その周囲を口刺(こうし)が1列に取り巻く。頭部全体には後方に向かった鋭いとげが5~6列並び,最後列のものは鳥羽のような形になる。背側に1対の眼点がある。頸部(けいぶ)は短く,16個の幅の狭いキチン板が並ぶだけでとげはない。胴部の各環帯には,それぞれ正中線に1本,両側に1本ずつのとげがあって後方に向いている。さらに体の後方には長い尾棘(びきよく)が1対ある。雌雄異体。ケイ藻や有機質などを食べる。幼虫は脱皮してしだいに成虫になる。
執筆者:今島 実
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報