トタンペイント

改訂新版 世界大百科事典 「トタンペイント」の意味・わかりやすい解説

トタンペイント

トタン亜鉛めっき鋼板)製の屋根に塗る塗料。通常展色剤には,ボイル油,長油アルキド樹脂,変性アクリル樹脂が使用される。トタンペイントの語はJISの塗料用語にはない。日本での商品名の一つであった〈○○トタンペイント〉の呼名が一般化したものらしい。亜鉛が鉄よりも化学的に活性である(イオン化しやすい)ため,亜鉛の酸化物が発生して鋼板上に緻密(ちみつ)な不働態をつくりやすいことを考慮して,塗装前の素地ごしらえをすることがたいせつである。まず油脂類の汚れを揮発油トリクロロエチレン,塗料用シンナー等で除去し,直接塗るかまたは金属下地処理用塗料であるエッチングプライマー(商品名ウォッシュプライマー)を塗ったうえで塗装する。直接塗料を塗る場合は,屋外で6ヵ月ほど放置し,亜鉛面の金属光沢が消えた状態となってからが好ましい。表面に酸化亜鉛の白い粉末が生じている場合は,ワイヤブラシや研磨布等でこれを除去,清掃してから塗装する。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報