エチレンCH2=CH2の水素原子3個を塩素原子で置き換えた化合物。正しくは1,1,2-トリクロロエテンというが、一般的にトリクロロエチレンといわれている。クロロホルムに似たにおいの無色の液体。1,2-ジクロロエタン(塩化エチレン)の塩素化により得たテトラクロロエタンを高温で脱塩化水素するか、1,2-ジクロロエタンをオキシ塩素化し副生するテトラクロロエチレンと分けるかして工業的に製造される。水には溶けず、エタノール、エーテルに溶ける。光、水分により徐々に分解されるので、通常安定剤が入っている。不燃性で金属を侵さず、蒸気洗浄、浸漬(しんし)洗浄に適しており金属脱脂剤として、またゴム、油脂、プラスチックなどの溶剤として多く用いられてきた。しかし有害物質に指定され、厳しい法的規制が実施されたため、徐々に使われなくなっている。蒸気は有害である。
[谷利陸平]
『廃棄物研究財団編、厚生省生活衛生局水道環境部産業廃棄物対策室監修『トリクロロエチレン等処理マニュアル』(1993・化学工業日報社)』
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