改訂新版 世界大百科事典 の解説
トビイロムナボソコメツキ
Agriotes fuscicollis
甲虫目コメツキムシ科の昆虫。成虫の体は暗褐色で表面に黄色毛がある。頭部の前方,前胸背の周辺,上翅の両側と会合部は赤褐色から淡褐色。触角,脚は黄褐色。体長8.5mm内外。北海道,本州に分布し,幼虫は一般に排水のよくない土壌中に生息する。幼虫は胸脚をもつ細長い円筒形で淡黄色。体の末端は円錐形で後方へとがる。十分に成長したものは体長19mm内外。7~8月ころ,土壌中に蛹室(ようしつ)をつくって蛹化,羽化した新成虫はそのまま越冬し,翌春になって出現する。ムナボソコメツキ類,カバイロコメツキ類,クシコメツキ類などの幼虫はハリガネムシと呼ばれ土壌中に生息し,ムギをはじめ各種の農作物の根を食害するが,トビイロムナボソコメツキは,その代表種である。
執筆者:林 長閑
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報