改訂新版 世界大百科事典 「トリップ家」の意味・わかりやすい解説
トリップ家 (トリップけ)
Trip
17世紀アムステルダムの都市貴族門閥。スペイン王フェリペ2世に対するネーデルラントの反乱が始まったころオランダのザルトボンメルZaltbommelに定住したヤコプ・トリップJacob Tripの息子エリアスElias(1570ころ-1635),ヤコプJacob(1575-1663),孫アドリアーンAdriaan(1621-84)は,当時オランダ最大の鉄・武器商人だったデ・ヘールDe Geer家の娘たちと結婚した。両家は協力して鉄,銅,軍需品の国際的取引を行って巨大な富を蓄積した。トリップ家は国際的中継港アムステルダムを本拠とし,ビッカーBicker家,ヘールフィンクGeelvinck家,デ・グラーフDe Graeff家など市内の名門都市貴族と姻戚関係を結び,市のレヘンテンregenten(統治者階層)になった。アムステルダム旧市街にあるトリップ邸(トリッペンハイス)は名匠フィングボーンスJ. Vingboonsによって建設され(1660-64),現在は王立ネーデルラント・アカデミーが使用している。
執筆者:栗原 福也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報