改訂新版 世界大百科事典 「ドド」の意味・わかりやすい解説
ドド
dodo
ハト目ドド科Raphidaeの鳥の総称。ドードーともいう。この科は少なくとも3種が知られている。現存するものは一つもなく,3種とも有史時代になって絶滅したが,骨格や不完全な剝製標本,古い旅行記の記述,絵画などが残っている。マダガスカル島の東方にあるマスカリン諸島の特産で,翼は退化して飛ぶことはまったくできなかった。体は大きく,シチメンチョウほどの大きさがあり,巨大なくちばしとじょうぶで短い脚と小さな尾をもった不格好な鳥である。体はやわらかい羽毛で覆われていた。グロテスクなくちばしは先端部が膨らみ,先はかぎ形に曲がっている。体重は25kgに達したものもいたといわれる。食物は果実や漿果(しようか)や種子などの植物質で,巣はつくらず,地面にじかに1卵を産み,雌雄交代で抱卵したようである。
モーリシャスドドRaphus cucullatus(英名Mauritius dodo)は全長100~120cm,雄は雌より少し大きい。全体に灰色で,背はややくすんだ色をし,腹はほとんど白く,ももは黒っぽい色。1507年にポルトガル人がモーリシャス島に上陸し,たくさん殺して食料とした。その後16世紀末にオランダ人が豚と猿を同島に移入し,これらが卵や雛を食べてしまった結果,1681年前後に絶滅した。ロドリゲス島のロドリゲスドドPezophaps solitaria(英名Rodriguez dodo)は1746年ころに,レユニオン島のレユニオンドドRaphus borbonica(英名Réunion dodo)は1800年ころに絶滅している。
執筆者:柳沢 紀夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報