ハト目(読み)はともく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハト目」の意味・わかりやすい解説

ハト目
はともく

鳥綱の1目。この目Columbiformesは通常サケイ亜目Pterocletesとハト亜目Columbaeに分けられ、前者にはサケイ科Pteroclididaeが、後者にはドードー科Raphidaeとハト科Columbidaeが属する。しかし、サケイ科とハト科の類縁関係については、古くから疑問を挟む人が少なくない。ハト科は一般に樹上生活に適応し、地上営巣する種でも雛(ひな)は晩成性であり、卵の色は隠蔽(いんぺい)色を示していない。このことは、ハト科の地上生活の起源がごく新しいことを物語る。一方、サケイ科は半砂漠やステップにすみ、地上生で、地面に営巣し、雛は完全に早成性である。かつて、サケイ科とハト科は、水を飲むときに嘴(くちばし)を水の中に突っ込んだまま、頭をあげずにごくごくと吸い込むとされ、この特異な水飲み行動が両者の類縁関係の根拠の一つにされていた。しかし、最近の観察によればこの説は誤りで、ハト科の水飲みは吸引型、サケイ科は飲み下し型である。飲水行動以外の行動学的特徴も、両者はむしろ違うようである。これらの点から、サケイ科はハト目よりチドリ目に入れるべきだと考えている人がいる。ただし、サケイ科の骨格および解剖学的特徴は明らかにハト科にいちばん近く、独特の行動は半砂漠やステップのような水の乏しい環境での地上生活に対する適応と考えられなくもない。一方、ハト科の類縁については、サモア島特産のオオハシバトオウム目の鳥との間に骨格、とくに頭骨の著しい類似が認められているが、それが類縁によるものか、それとも相似によるものかは明らかでない。ドードー科はマスカリーン諸島特産のグロテスクな地上生のハトで、18世紀の中ごろか終わりに絶滅した。

[森岡弘之]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル大辞泉プラス 「ハト目」の解説

ハト目

鳥綱の目。ハト科および絶滅したドードー科を含む。

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