改訂新版 世界大百科事典 「ドルクローズ」の意味・わかりやすい解説
ドル・クローズ
dollar clause
国際間の取引において,米ドル以外の通貨建てによる契約の場合,その決済を行うとき米ドルの価値を基準とすることを定めた約款のこと。ドル約款ともいう。
これは債権本体の価値が貨幣価値の変動に伴って変化し,そのために取引当事者が不測の損害をこうむることを避けるための条項である。債権債務の決済をある時点の金の価値によって行う金約款における金の役割を,米ドルにおきかえたものといえる。とくに長期貸付け,証券投資,貿易決済などにおいて,ドル・クローズが規定されることが多い。同じく円以外の通貨建ての契約の場合の価値保証を円で行うことを,円クローズ(円約款)という。
そのほか2国間の支払協定において,必要がある場合その決済じりを米ドルに交換できるように定めた条項のことを,ドル・クローズと呼ぶこともある。
執筆者:黒田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報