日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナンヨウダカラガイ」の意味・わかりやすい解説
ナンヨウダカラガイ
なんようだからがい / 南洋宝貝
golden cowry
[学] Callistocypraea aurantium
軟体動物門腹足綱タカラガイ科の巻き貝。マーシャル諸島やフィリピンなど太平洋熱帯海域に分布し、潮間帯下の岩礁にすむ。殻長80ミリメートル、殻径58ミリメートルに達し、殻は背面が丸く膨らみ、殻表は朱色1色で光沢がある。腹面はやや平らで白色、狭い殻口の歯は橙(だいだい)色。美しい貝で、殻色からコガネダカラ(黄金宝)、アカダカラ(赤宝)などの別名がある。かつてフィジー諸島では、この貝を飾りとして身に着けるのは首長(しゅちょう)の特権であったという。いまだに高価で、収集家でこれを欲しがらない者はいないほどである。
[奥谷喬司]