改訂新版 世界大百科事典 「ニホンアマガエル」の意味・わかりやすい解説
ニホンアマガエル
Hyla japonica
アマガエル科の小さなカエル。北海道,本州,四国,九州に分布し,平地から低山地の林,水田周辺から人家の庭先や生垣までふつうに見られ,草の上や低木にすんで,繁殖期以外は進んで水に入ることがない。体長約3~4cmで雌がやや大きい。四肢の各指先には吸盤が発達し,餌の昆虫,クモなどを求めて跳び出しても,枝や葉に身軽に止まることができる。体色変化が巧みで保護色の好例とされ,周囲の状況に応じて黄緑色から灰褐色,暗褐色まで変わり,暗色の斑紋が背面や四肢に現れる。繁殖期の5~7月ころ,雄はのどの下にある鳴囊を大きく膨らませて鳴く。卵は比較的大きく,浅い止水の水草や枯枝にくっつけて200~500個ほどを産む。〈雨蛙〉の名のとおり気圧の変化には敏感で,夕立や雨の降る前にはかん高い声で盛んに鳴く。これはシャワー・コールと呼ばれ,繁殖期のメイティング・コールと区別される。
→アマガエル
執筆者:松井 孝爾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報